前月からマイナス1.5㎏を達成!趣味の活動も再開!

最初の1カ月は全く体重が減らず、やっぱり私にはムリなのか……と心がくじけそうになった。

しかし先生の言葉に励まされ、あきらめるのはまだ早いと気持ちを切り替えることができた。

負担となっている夜勤の問題や介護の負担をクリアすることが欠かせないということで、まず看護師長に直談判し、夜勤がつらいこと、それが体調悪化に繫がっている現状をありのまま相談した。

「決まったシフトを交代してもらうことがありましたね。夜勤の時間や回数には厳しいルールがあるし、夜勤後の休息も考慮してシフトを組んでいるんだから、お子さんの具合が悪いからって安易な交代では負担が増えるのは当然でした。シフト担当から私のところにも報告は来ています。負担が大きくなっていて本当に申し訳なかった。夜勤をなくすことはできないけれど、これからはもっと考慮しましょう」

そんな返事をもらい、もっと早く言えばよかったと思った。最後に看護師長が「健康管理に努めるのは看護師としてもよい」と褒めてくれた。

「ストレス」が減ることが一番の減量

一方、母の介護の件では意を決して妹に話をすると「お姉ちゃんに押しつけて悪いと思っていた」としきりに謝られ、私のほうが驚いた。霧が晴れるように心配事が消えていき、私は以前より自由になる時間を持てるようになった。

先生に勧められた野菜スープや鍋料理をさっそく自分でも作ってみるようになったし、すっかりやる気になって料理道具や作り置き料理のレシピ本を買い込んだ。

さらに失った時間を取り戻すように、以前好きだった刺繡をまたやってみようと思い立ち、何年も前に買ったクロスステッチ刺繡のキットを押し入れから引っ張り出した。夜に1人でチクチクと針を刺していると時間を忘れる。集中して無心になることでむしろ充実感を覚えるのは不思議なことだった。

すっかりハマった私は仕事場にも刺繡キットを持っていき、休憩時間にもお菓子をつまむのではなく刺繡をして過ごすようになった。興味を持ってくれた同僚にプレゼントしたり、手持ち無沙汰だという入院患者さんに勧めたりもした。

そんな日々を過ごしているうちに、ついに体重が減り始めた。なんとマイナス1.5㎏! そうなるとうれしくなり、食事の記録にも自炊の日が増えていく。

前回とは違い、次の診察日が待ち遠しかった。今度はよい報告ができると思い、意気揚々と診察室に向かった。

「真理子さん、いいですね! 体重はちゃんと減ってきています。前回のマイナ0.5㎏と合わせれば、2㎏の減量をクリアしているじゃないですか。肝機能もAST17、ALT19、γーGTP30と、こちらも順調。この調子です!」

先生の笑顔がとてもうれしかった。

尾形 哲
長野県佐久市立国保浅間総合病院
外科部長/「スマート外来」担当医