2025(令和7)年9月、東京都で「第一子保育料無償化」が始まりました。子育て世帯にとって大きな前進となるこの制度ですが、手放しで喜ぶにはまだ課題も多いようで……。同制度の詳しい内容と無償化にともなう家計全体の影響について、具体的な事例をもとにみていきましょう。石川亜希子CFPが解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
結局なにも変わらないのかな…世帯年収1,000万円の49歳女性、東京都の「保育料等の第一子無償化」に冷ややかな目【CFPの助言】
保育料無償化は“無意味”なのか?
もちろん、今回の「第一子からの無償化」は、子育て世帯にとって大きな前進です。
仮に月5万円の保育料がゼロになれば、出産や育児に対する経済的・心理的なハードルが下がって「子どもを持とう」と思う人が増えるかもしれません。少子化対策としても、一定の効果が期待できるでしょう。
また、これまでは「子どもを持つことは各家庭の選択であり、費用負担も自己責任」という考えが根強くありました。しかし、少子化が社会全体の課題となっているいま、支援制度の整備は「社会全体で子育てを支える」方向への転換を示しています。
孤立しがちな子育て世帯にとって、大きな希望につながるのではないでしょうか。
「子育ての壁」を取り払うために
ただし、子どもを持つという選択を支えるのは、保育料の問題だけではありません。住宅費や教育費、働き方、どの世代にもなにかしら「子育ての壁」があるでしょう。保育料無償化は、その壁を一部取り払ったにすぎません。
それでも、こうした一歩一歩の積み重ねが、子どもを育てたいと思える社会につながっていくはずです。制度の先に、本当にそんな社会があるのか――。
私たち1人ひとりがその未来どう描き、どう行動していくのか。それこそが、これからの大きな課題なのではないでしょうか。
石川 亜希子
CFP