「家を買えば人生が変わる」—そう信じて35歳で憧れのマイホームを手に入れた川瀬真一さん(仮名・現在51歳)。世帯年収800万円、ニュータウンの一角に4,500万円の新築一戸建てを購入した時の喜びは、今でも忘れられません。しかし15年が経った今、真一さんが直面しているのは想像を絶する現実でした。FPの青山創星氏が、川瀬さんの事例を基に絶体絶命のピンチからの脱出法を探ります。
「あんなに幸せだったのに…」世帯年収800万円・35歳で〈夢の一軒家〉を購入も、15年後「廃れたゴーストタウン」「家計は自転車操業」の哀しき現実【FPの助言】
絶体絶命からの脱出 —専門家が示す「最後の希望」と真一さんが選んだ道
真一さんの相談に応じたのは、住宅ローン問題に詳しいファイナンシャル・プランナーの永瀬財也さん(仮名)です。
「真一さんのケースは確かに厳しい状況ですが、まだ打つ手はあります。ただし、すべての選択肢にはリスクとデメリットもあることを理解してください」
永瀬さんの提案は、複数の対策を組み合わせた「総合的な解決策」でした。
解決策1:夫婦フル稼働による収入アップ戦略
解決策2:年金受給の繰り下げによる年金額アップ
解決策3:住宅ローン返済期間延長の交渉
解決策4:【最終手段】住み替えによる負債圧縮
永瀬さんのアドバイスを受け、真一さん夫婦は「5年間集中作戦」を決断しました。
「妻には正直、申し訳ない気持ちでいっぱいです。でも、今やらなければ本当に破綻してしまう」真一さんの決意は固いものでした。
美咲さんも「子どもたちも大きくなったし、今だからこそ頑張れる」と前向きに捉えています。
具体的な行動計画
フェーズ1(51歳〜55歳):収入最大化期間
・美咲さんの正社員転職(月収8万円→20万円)
・真一さんの副業開始(月3万円目標)
・クレジットカード債務の集中返済
フェーズ2(56歳〜60歳):ローン負担軽減期間
・住宅ローン返済期間延長の交渉
・繰り上げ返済の実施(可能な範囲で)
・60歳以降の継続雇用条件確認
フェーズ3(61歳〜70歳):年金繰り下げ期間
・夫婦とも継続雇用で収入確保
・年金受給を70歳まで繰り下げ
・70歳でのローン完済と年金受給開始
相談から3ヵ月後、真一さんの表情は明らかに変わっていました。
「正直、まだまだ厳しい状況ですが、『やることがある』って分かっただけでも気持ちが楽になりました。毎晩電卓を叩いて絶望していた日々から、今度は『どうやって目標を達成するか』を考える日々に変わったんです」
美咲さんも「最初は『なんで私が正社員に?』って思いましたが、今は『家族のために頑張ろう』という気持ちです。夫一人に背負わせるのは酷ですから」と支える気持ちを見せています。