60歳で収入激減 —年金生活への恐怖のカウントダウン

現在51歳の真一さんが最も恐れているのは、9年後の60歳定年退職です。会社の継続雇用制度では、給与は6割程度に減額される予定。月収が33万円程度になるとすれば、もはや現在の生活水準を維持することは不可能です。

「年金があるじゃないか」と思われるかもしれませんが、真一さんの年金受給開始は65歳から。60歳から65歳までの5年間は、月33万円の給与だけで生活しなければなりません。

住宅ローン12万円、教育ローン3万円、クレジットカードの返済8万円を合わせると23万円。生活費はわずか10万円しか残らない計算です。

さらに恐ろしいのは、住宅ローンの完済予定が70歳であることです。年金生活に入ってからも月々12万円の返済が続くのです。

厚生年金と国民年金を合わせても月額18万円程度の見込み。真一さんが70歳になるまでの間加給年金がプラスされ年金月額21万円程度になったとしても、住宅ローン12万円を引くと、生活費は9万円しか残りません。

「夫婦二人で月9万円なんて、絶対に無理です……」

真一さんは絶望的な表情を浮かべます。毎晩、家族が寝静まった後に電卓を叩きながら何度もシミュレーションを繰り返していますが、どんなに計算しても「破綻」という文字しか浮かんできません。

「あの時、もう少し慎重になっていれば。35年ローンなんて組まなければ良かった……」後悔の念が頭の中を駆け巡りますが、時間を巻き戻すことはできません。

果たして、この絶望的な状況から抜け出す道はあるのでしょうか。