「ミドルライフクライシス」という言葉もあるように、ミドルシニア世代は自分の人生や仕事に不安を抱えやすい時期。こうしたなか、会社員を続けながら「もう1つの仕事」を始めたことで、失いかけたアイデンティティを取り戻せたという人たちがいます。竹本和広氏の著書『自分らしく生きる定年後の仕事 50代の働き方は「複業」で変わる!』(ごきげんビジネス出版)より、複業経験者の“リアルな声”をみていきましょう。
59歳、副業を始めたら「本業」で大出世。“外の目”を手に入れたベテランサラリーマンの、社内無双 (※写真はイメージです/PIXTA)

未経験の領域も「経験の応用」で案件獲得。複業をきっかけに独立した40代Kさん

Kさんは40代後半の方です。私と同じく営業として会社員をしていたのですが、現在はフリーランスとして独立し複業中です。

 

1.複業してよかったと思うこと

「2つあります。1つ目は、自分の職業スキルの成長を大きく実感できることです。募集案件に積極的に応募し、ベンチャー企業との業務委託契約を少しずつ増やしていきました。これまでに経験のない領域でも経験の応用で挑戦し、自分の専門領域を深めることができ、その結果、対価アップにもつながりました。

 

2つ目は、ご縁の広がりです。自分の領域を広げたことで、これまでにないつながりが生まれ、そこからまたビジネスが広がっていきました」

 

2.複業して苦労したこと

「領域を広げることは、精神的にも肉体的にも、さらにフリーランスは金銭的にもエネルギーが必要です。足元で必死にならないと沈んでしまうこわさ(溺れそうな感覚)があります。家族や周囲の方の理解をいただけるかどうかで、この苦労への対処も変わってくると思います」

 

3.これから複業したい人へのアドバイス

「とにかく、お金を取りにいかないこと。ボランティアやプロボノでも、人脈形成、仕事で使えるスキルアップや領域拡大は可能です。経験と実績を蓄積するのです。経験と実績が信頼につながります。信頼に対して対価が得られますので、信頼資産を蓄積することを何よりも楽しんでください!」

自分も捨てたもんじゃない…複業で自信をつけ、会社員を“卒業”した50代Uさん

女性にも登場いただきます。Uさんは会社員を卒業し、キャリアコンサルタントとして独立した2児のママさんです。

 

1.複業してよかったと思うこと

「思わぬところで自分の知識や知見、スキルが役に立ち、自分も捨てたもんじゃないと自信がもてました。いまいる世界がすべてではないと思うと心理的な余裕が生まれます。いろいろな人たちと関わり、経験のなかで、いろいろなことを吸収し成長できました。楽しく取り組むことで生活にハリが出るのが複業のいいところだと思います」

 

2.複業して苦労したこと

「頼まれた仕事はなるべくOKするようにしているので、引き受けたものの、本当にできるのだろうか? という自己疑念と闘いながら、それでも相手の期待するレベルまでアウトプットをもっていくことに苦労しています。しかし、結果として自分の幅が広がるので、苦しくても引き受けるようにしています」

 

3.これから複業したい人へのアドバイス

「最初は不安もあると思いますが、複業はいいことずくめなので、自分を信頼して思い切ってチャレンジしてみてください。新しい世界が広がりますよ!」

 

 

竹本 和広

セカンドキャリアコーチ

株式会社ライフシフトラボ 複業トレーナー

 

※本記事は『自分らしく生きる定年後の仕事 50代の働き方は「複業」で変わる!』(ごきげんビジネス出版)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。