(※写真はイメージです/PIXTA)

開業医にとって、財務管理は診療と同じくらい重要な課題です。しかし、多忙な診療業務の合間に、財務を自ら管理することは容易ではありません。そんなとき、頼りになるのがファイナンシャルプランナー(FP)の存在です。財務で味方につけるべきパートナーとして、頼れるFPの役割とその必要性に注目してみましょう。本連載は、コスモス薬品Webサイトからの転載記事です。

医業をサポートするFPの業務内容

ライフプランとお金の専門家であるFPは、医業においてもさまざまなサポート業務を提供しています。

 

その代表的な業務内容は以下のとおりです。

 

資金調達支援:クリニック開業や設備投資のための資金調達をサポート

財務計画の立案:長期的な収益性を見据えた財務戦略の策定

税務相談:適切な税務処理や節税対策など

投資アドバイス:資産運用や投資戦略の提案

経営コンサルティング:クリニック運営の安定と成長を支援

リスク管理:医療事故や経営リスクに対する保険の提案

 

これらのサポートを通じて、FPは開業医の経営を安定させ、診療に専念できる環境を整えます。

クリニックの財務で味方となるFPの役割とは

FPは、クリニックの財務面で頼もしい味方となる知識とスキルを備えています。

 

では、具体的にどのような役割を担うのでしょうか。財務以外の領域も含めてその活躍ぶりを見てみましょう。

 

◆資金調達と融資支援

クリニックの開業や拡張には多額の資金が必要です。FPは銀行や金融機関との交渉をサポートし、最適な融資条件を引き出します。返済計画の策定や資金繰りの支援も行います。

 

◆専門的な財務管理

FPは、クリニックの収益向上を担う財務管理の専門家です。日々のキャッシュフロー管理から長期的な財務戦略まで、幅広い財務タスクに対応します。月次の収支報告書を分析し、無駄なコストを削減するためのアドバイスも可能です。

 

◆資産運用のアドバイス

開業医の個人資産運用についてアドバイスを提供することもFPの役割です。短期的な利益追求ではなく、長期的な資産形成を重視した運用スタイルがFPの持ち味です。リスクを最小限に抑えつつ、安定した運用を目指すことで、開業医の経済的な安心につなげます。

 

◆節税対策の提案

クリニックの収益が高まるほど、適切な税務対策を講じる必要があります。FPは、最新の税法を踏まえた節税対策を提案し、税負担の軽減に尽力します。加えて、医業承継時の税務処理や、資産の分割・移転における法的支援もFPの得意領域です。

 

◆経営コンサルティング

財務アドバイザーにとどまらず、経営全般に関するコンサルティングもFPの役割の一環です。たとえばスタッフの人件費や設備費用の最適化、マーケティング戦略の強化などです。クリニックの経営方針を見直し、より効率的な運営を実現するためのプランを提案します。

 

◆スタッフ教育とマネジメント

FPは、クリニックのスタッフ教育やマネジメントについてもサポートします。スタッフ育成プログラムや、業務効率化を目指したマネジメント手法の導入にも携わります。クリニック全体のパフォーマンスに好影響をもたらす取り組みもFPの仕事です。

 

◆リスク管理と保険の選定

医療現場にはさまざまなリスクが存在します。開業医にとって、保険は重要なリスク管理の手段です。FPは、医療事故や訴訟リスクに対する保険を提案し、万が一の際にもクリニックの運営が継続できるように支援します。自院に適した保険の選定と契約更新のサポートは、FP業務の真骨頂です。

開業医パートナーとしてのFPの必要性について

開業医にとって、クリニックの経営と個人のライフプランは密接に関連しています。

 

ここでは、開業医のパートナーとしてFPがなぜ必要とされるのかについて掘り下げていきます。

 

◆経済的な側面からのサポート

医師が自身や家族の将来を見据えたライフプランを立てる際には、まず必要な収入を明確にすることが重要です。

 

FPはその知識とスキルを活かし、結婚、子どもの教育、住宅購入、引退後の生活など、長期的な収支を見通し、計画の実効性を経済的な視点から検証します。

 

このサポートにより、医師は具体的な目標に向けた計画を立てやすくなります。

 

◆明確なキャリアと財務の重要性

開業医のキャリアには、さまざまな方向性があります。収入が増えるに応じて医療法人化や分院を検討したり、子に医業を承継したりする道筋も考えられます。目の前の業務に追われるのではなく、今後のキャリアを明確に見通すことで、財務管理も意味のあるものになってきます。

 

収入や支出を曖昧にしないためにも、FPの助けを借りて具体的な目標とその達成方法を定めることが重要です。

 

◆開業医特有の課題

開業医には定年退職の概念がなく、老後への「備え」が十分でないケースが少なくありません。健康上の理由などで急きょ引退を迫られた場合、貯蓄が不十分であれば、老齢基礎年金のみでは生活を支えることは困難です。

 

医師からひとりの人間として安定した老後を迎えるためには、国民年金基金や小規模企業共済への加入、または医療法人化などの対策が必要です。

 

FPはこれらの課題やリスクを事前に見通し、開業医に必要な「備え」を提案します。FPの適切なアドバイスにより、院長は引退後の生活を安心して過ごせるようになるでしょう。

 

◆ライフプランを見据えたパートナーシップ

開業医にとって、FPは単なる経営アドバイザー以上の存在と言えます。医師が自らのライフプランを考える上で、FPの知識・スキル・経験は非常に役立つものです。とくに、自院を経営する院長が将来を見据えた計画を定めることは、キャリアの成功に直結します。

 

米国では、個人が安定した生活を送れるよう、FPが将来を予測し、潜在的な問題を未然に防ぐための計画を立てる役割を担っています。

 

日本においても、社会保障制度の変化により、以前のように国や大企業に依存した老後の安定は保証されなくなってきています。これからは、自らが描くライフプランに責任を持ち、積極的に準備することが求められます。

 

このような医師のライフプランをサポートするパートナーがFPの役割であり、開業医の人生設計に必要な存在なのです。

頼りになるFPを選ぶポイント

開業時だけでなく、その後も長きにわたって付き合えるFPこそが、真に頼りになるパートナーです。

 

以下に、頼れるFPの選定ポイントを整理してみましょう。

 

◆支援内容の豊富さ

頼りになるFPを選ぶためには、支援内容の豊富さを確認することが重要です。

 

医業に精通したFPであれば、医療業界特有の課題やニーズに対応したサービスが幅広く、開業医にとっては心強い味方となります。

 

たとえば、開業支援に強いFPは、物件選定や資金調達、機器の購入などで専門知識と経験を持っています。税務対策が得意なFPなら、クリニックの収益につながる節税策を提案してもらえるでしょう。

 

自院の経営を続けていくなかで、その時々のニーズに適した支援が可能なFPを選ぶことがポイントです。

 

◆実績と価値観

FPの実績や価値観も重要な選定ポイントです。過去にどれだけの開業医を支援してきたか、その成功事例や顧客の満足度は、FPの信頼性を測る指標です。

 

実績が豊富であれば、開業におけるさまざまな問題に対しても柔軟に対応できる能力が期待できます。

 

さらに、FPと開業医との相性や価値観の一致も大切です。長期間にわたりパートナーとして関わるため、コミュニケーションが円滑で、お互いの考え方やビジョンを共有しやすいことが望まれます。

 

◆サービスの質に見合う料金

任せて安心なFPを選ぶ際には、料金体系をチェックすることも必要です。料金設定はFPによって幅があり、サービス内容や提供される支援の範囲に応じて異なります。安価なサービスだけを選ぶのではなく、提供されるサポートの質や実績を総合的に考慮することが重要です。

 

質の高いサービスを提供するFPは、結果的にクリニックの成功に貢献し、その価値を十分に感じられるでしょう。適切な料金設定と質の高いサービスを兼ね備えていることが、頼れるパートナー選びのポイントです。

頼もしいFPをパートナーに迎え、クリニック経営を安定させましょう

財務や経営を支えるパートナーとして、FPを自院に迎えることは開業医にとって賢明な選択です。

 

FPの専門知識とサポートにより、クリニックの経営を安定させ、持続可能な医業を目指すことができます。

 

信頼できるFPを選び、ともに歩むことで、開業医は診療に集中しながら経済的な安心と豊かな生活を見通せるようになるでしょう。

 

 

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