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資産形成は「思い立ったが吉日」

私が介護離職したときに命綱になった「家賃収入」は、入居者さえいれば一定の金額が毎月手元に入るとあって、「不労所得」と呼ばれます。「不労所得で生活していた」というと、羨望の眼差しを向ける人もいれば、「働かない怠け者」とみなされ冷たい視線を送る人もいます。
しかし、一生健康で働き続けられる保障は誰にもありません。お金の不安はすべてのストレスにつながります。万が一なにかの理由があって働けなくなったとき、不労所得によってストレスが軽減されるだけで、生活を立て直す気力を失わずに済むことを知っておいてください。
そもそも、私の家賃収入は羨望されるほどの額ではありませんでした。なんとか家計をやりくりしながら、重くのしかかる健康保険料や国民年金保険料、税金について必死に調べ、さまざまな救済措置で助けていただきました。
お金のない人こそ、お金やお金にまつわる制度の知識が必要です。窮地に陥ったのは自業自得なところもあって自分の計画性のなさを反省しました。ただ、20代のうちに社会保険や税金に詳しくなったこと、就労以外の収入源の必要性を痛感できたことはラッキーだったと、今振り返るとそう思います。
また、私の資産形成はかなり遅れたスタートで、決して自慢できるようなものではないのですが、思い立ったが吉日です。
何歳から始めても大丈夫です。自分の可能性を諦めないことに意味があると思います。数々の失敗も、その経験の先に今があるので「人間万事塞翁が馬」だと受け止めています。
加えて、FPとしてご相談を受ける側になって感じるのは、私のような「おひとりさま」の場合、パートナーや子どものライフイベントを考える必要がないことから「老後資金」に気持ちが集中しがちであるということです。
たしかに、1人で生きる覚悟をした者にとって「老後資金」は避けては通れない大きな課題でしょう。しかし、老後不安が先行して必要以上のお金を確保しようと生活に制約をつけすぎると、人生の充実感や豊かさを享受することが難しくなってしまいます。
「お金は元気なうちに使うもの」という父の言葉を思い出します。
今を楽しむために使うお金や時間を大切にすることと、将来のために計画的に資産形成を行うことは同時進行が可能で矛盾しません。
今、お金に漠然とした不安がある人こそ、まずは一歩を踏み出してみてください。そして、この記事を読んで、少しでも前向きな気持ちで「私も資産形成をはじめてみようかな」と思っていただけたら嬉しいです。
※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。
山原 美起子
株式会社FAMORE
ファイナンシャル・プランナー