相談者の悩みや目標に寄り添い、老後まで見据えたマネープランを立ててくれる「ファイナンシャルプランナー(FP)」。そんなFP自身は、どのような資産形成に取り組んでいるのでしょうか。株式会社FAMOREの山原美起子さんが、自身の経験を交えながら、資産形成をはじめたきっかけとおすすめの運用手法を紹介します。
「介護離職で貯金ゼロ」人生の“どん底”から脱出したい…ワタシが「資産形成」をはじめた理由 (※画像はイメージです/PIXTA)

貯金だけでは遅すぎる…「自己投資」で収入アップに成功

 

資産形成を始めるにあたって、私がまず取り組んだのは「先取り貯金」です。まずは「年間100万円」貯めることを目標に、月額8万4,000円を貯金することにしました。

 

先取り貯金のポイントは、給料日と自動積立日を同日にすること。“最初から給料はこれだけしかなかった”と思い込む作戦です。

 

通帳の数字が増えていくワクワクはあったものの、このペースだと1,000万円貯めるのに10年かかります。

 

「これでは遅すぎる」とは思いましたが、だからといって投資に回すほどの余剰資金はまだありません。

 

やはり収入を増やすしかない、と考えた私が次に取りかかったのは「自己投資」でした。

 

人的資産の価値を高めることは大切な投資の1つ

スキマ時間を使って、簿記やMOS、ビジネス会計、秘書など、履歴書に書けそうな事務系の資格を取得。そのなかにFP資格もあり、晴れてAFP認定者となりました。

 

その結果、39歳で正社員として転職することができ、念願の収入アップに成功しました。時間はかかりましたが、「人的資産の価値を高めることは大切な投資の1つ」というFPのテキストにあった言葉は正しかったと、身をもって証明できたと感じます。転職後も勉強を続け、現在はCFP(※AFPの上位資格)となりました。

 

FPになってからの資産形成は「iDeco」と「NISA」をフル活用

FPとして転職してからは、税制優遇のある「iDeco」と「NISA」をフル活用して、投資信託を中心に投資を始めました。

 

2024年1月から制度内容が大幅に拡充された新NISAですが、つみたて投資枠で私が買った投資商品をひとつ挙げるとすれば「オルカン」です。

※ オルカンとは…オール・カントリー(全世界株式)の略称で、日本を含む全世界の株式等を主要投資対象としている商品です。このファンドに投資することによって、実質的に全世界の株式等に分散投資できるというメリットがあります。

 

月10万円(年間120万円)を投資し、12月現在の評価額は1,315,268円、損益率9.6%となっています。資産形成の“お金を増やすフェーズ”に、投資は必要不可欠だと言わざるを得ません。

 

しかし、それぞれの制度はセミナー講師として解説するほど熟知していたものの、投資先の選定やリバランスの判断などには自信が持てずにいました。

 

そこで私が利用したのが、「ロボアドバイザー」のサービスです。手数料は運用資産額の最大1.10%とやや高めでしたが、AIを活用した投資アドバイスはとても参考になりました。

 

運用成績も良好で、同じように月2万円を銀行で積立貯金していた場合と比較して、7年間で約140万円の差が出ています。

 

当然、アップダウンがあるものですから無理はせず、「長期・積立・分散」という投資の基本ルールを守って、大事に資産を育てていこうと思います。