親の介護は、もはや「突然訪れるもの」ではなく「いつか必ず訪れるもの」として、自身のライフプランに組み込むべき時代になりました。その時、安易に「介護離職」の道を選ぶか、それとも制度や親の資産を賢く活用し、自身のキャリアと両立する道を選ぶかで、あなたの生涯収入や老後資金は大きく変わります。本記事では、Aさんの事例とともに、介護とライフプラン両立のポイントについてFPオフィスツクル代表・内田英子氏が解説します。
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介護とライフプランの両立…仕事を続けながら支えるためには
介護が人生に与える影響は制度の利用だけでは防げません。ライフプランの観点からは、介護に伴うリスク管理が重要となります。特に以下の3つのリスクに注意が必要です。
1.生涯収入の減少リスク
退職による給与収入の減少やそれに伴う公的年金受給額・退職金額の減少につながる可能性。
2.資産形成の機会喪失
収入減少により、資産形成の機会を失い、老後資金が不足する可能性。
3.労働の機会損失
介護に時間や労力を費やすことなどにより、就労環境が変化し、労働が難しくなる可能性。
これらのリスクを踏まえ、以下のような対策が重要です。
自分のライフプランを明確にする
介護支援では、必要な制度を必要な分だけ組み合わせて使うことが前提となっているため、制度をよく理解して活かしましょう。そのために、ライフプランがカギとなります。
親の財産状況を確認する
不要な資産流出を防いだり、自身の資産形成への影響を小さくできたりする可能性があります。相続トラブルを避ける第一歩にもなります。親の資産・収入状況を確認し「介護費用は親の資産から」「自分の生活費は自分の収入から」と線引きをしておきましょう。
働き方を調整しながら介護を続ける道を探る
介護支援では、家族で「すべてを抱え込む」のではなく、「必要な部分を支える」ために活用することが推奨されています。
介護は誰にでも突然訪れる可能性があります。制度を理解し、親の資産状況やご自身のライフプランを早めに整理しておくことが、将来の後悔を減らす第一歩です。ぜひ今日、少し時間をとって“自分のこれから”を考えてみませんか。
〈参考〉
総務省 家族の介護・看護を理由とする離職者数等の推移
https://www.mhlw.go.jp/content/11901000/001174913.pdf
厚生労働省 2005年度介護保険法改正
https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/gaiyo/k2005_02.html
厚生労働省 育児・介護休業法が改正されます!
https://www.keidanren.or.jp/policy/2016/059_shiryo1-1.pdf
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000140488.pdf
厚生労働省 ⼦の看護休暇・介護休暇が時間単位で取得できるようになります︕
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000582033.pdf
厚生労働省 介護休業に関する考え方
https://www.mhlw.go.jp/content/11901000/001174913.pdf
内田 英子
FPオフィスツクル代表