子どもの結婚は親にとって最大の喜び。しかしその喜びが、一転して胸を締め付ける後悔に変わることもあります。千葉県在住の佐藤さん一家は、教育熱心で3姉妹を大学に通わせました。末っ子の三女は美大進学で奨学金を背負い、結婚を目前に婚約者の家族にその事実を問われます。そこで起きた"号泣電話"をきっかけに、親の後悔と奨学金の現実が浮かび上がります。本稿では、FPの三原由紀氏が奨学金や教育費の考え方について解説します。
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「私、結婚します」喜び爆発も束の間、“多額の借金を抱えた花嫁扱い”に娘、号泣。大学進学で借りた〈奨学金の残債300万円〉が幸せを阻む…まさかの事態に62歳父「こんなことになるなんて」【FPの助言】
教育費ラッシュと、奨学金を選ばざるを得なかった理由
長女と次女は年子で私大文系へ進学。学費はそれぞれ年間90万円近く、同時在学で毎年180万円以上が家計から消えていきました。さらに住宅ローンも抱え、家計は常に綱渡りの状態。そこに2年遅れて三女・彩さんが大学受験を迎えます。小さい頃から絵を描くことが好きで、「美大で学びたい」という夢を持っていました。
両親も応援しましたが、美大の学費は文系私大の倍近く。4年間で650万円以上、さらに画材費などもかかります。
「3人分をすべて家計で負担するのは無理だ」
そう判断した健一さん夫婦は、彩さんに貸与奨学金第二種(有利子)を借りてもらうことにしました。
当時、健一さん夫婦は「彩も社会人になれば働いて返せるはずだ」と考え、深くは悩みませんでした。結果、彩さんは4年間で480万円を借り、金利や返済期間を考慮すれば総返済額は相当な金額になることが予想されました。
しかしその選択が、10年以上経った今になって、娘の人生の節目に影を落とすことになろうとは――当時の2人には想像もつきませんでした。