「旅行も外食も我慢。でもお金が貯まらない…」50代会社員の違和感

メーカーで管理職を務める原田さん(54歳)は年収900万円。パートで働く妻の洋子さん(52歳)と、郊外のマイホームで2人暮らしです。2人の娘は就職とともに家を出て、それぞれ独立しています。

一見すると、なに不自由ない穏やかな生活を送っているように見えます。しかし、家計を任せている妻の口癖は、もう10年以上も「うちにはお金がない」でした。

娘たちの学費がかさんでいた時期はお金がないのも当然だと、家族での外食や旅行も控え、節約に努めてきました。しかし、娘たちが独立して教育費の負担から解放されたあとも、洋子さんから「お金が足りない」と繰り返される日々。

「次は自分たちの老後資金を貯める番だよな」

原田さんは老後2,000万円問題を思い浮かべ、自身の趣味であるゴルフへ行く頻度を抑え、会社の飲み会も一次会で切り上げるなど、家計を気遣ってきました。妻の言葉を信じて協力してきたものの、「無駄遣いなんてしていない。教育費も落ち着いた。なのに、なぜ貯まらないんだ?」というモヤモヤは、日に日に大きくなっていました。

定年も視野に入り、退職金は約2,000万円、公的年金も夫婦合わせて月28万円ほど見込める計算です。

「本当に、ここまで切り詰める必要があるのだろうか?」

その違和感をきっかけに、原田さんはこれまで妻に任せっきりにしていた家計を自分の目で確認しようと決意しました。

ある日、原田さんは意を決して洋子さんに「一度、一緒に家計を見直さないか」と切り出しました。

収入と支出を一つひとつ確認していくと、食費や光熱費などに無駄はありません。「やっぱり妻はやりくり上手にやってくれていたんだな……」と思った矢先、原田さんはある支出項目の異様な大きさに気がつきました。