老後資金の確保や健康維持などを目的に、定年後も働くシニアが増えています。なかには、金銭的に余裕があり、老後の生活に問題がなさそうな人物が働いていることも。しかし、現役時代の輝かしい経歴とプライドが、新しい職場では思わぬ「足かせ」となってしまうことも。本記事では、Aさんの事例とともに、定年後の再就職先でのトラブルと注意点について、社会保険労務士法人エニシアFP代表の三藤桂子氏が解説します。※プライバシー保護の観点から、相談者の個人情報および相談内容を一部変更しています。
(※写真はイメージです/PIXTA)
さ、採用です…!年収500万円の40歳居酒屋店長、年収2,000万円だった65歳元大企業部長が面接に来てびっくり、即採用→1ヵ月後「最悪の勘違い」に気づき大後悔した理由【FPが解説】
年収2,000万円は全体のわずか1%…“超エリート”が選んだ意外な再就職先
国税庁「2022(令和4)年分民間給与実態統計調査」によると、民間企業に勤める給与所得者のうち、年収1,500万円超~2,000万円以下の人は0.8%、年収2,000万円超~2,500万円以下の人は全体の0.3%で、年収2,000万円前後の人は全体の1.1%とごくわずかです。しかし、こうしたいわば「超エリート」であっても、定年退職したあとの再就職先に“意外な場所”を選ぶ人もいるようです――。
居酒屋の店長を務めているAさん(40歳)。年収は500万円と決して高収入とはいえませんが、生活に不自由はありません。
Aさんは、学生時代からアルバイトとして働いてきた居酒屋に若くして店長に抜擢され、そのまま就職しました。アルバイトを始めたころは、売上が伸びず慢性的な赤字経営でいつまで持つかと噂されていた店でした。しかしバイトという身分ながら、大人の隠れ居酒屋をコンセプトにした雰囲気づくりと新メニューの発案等、Aさんの店内改革でその店は評判を呼び、数年で集客を3倍に。その街で評判の人気店となりました。
そのAさんの手腕が親会社にも伝わり、店長のオファーをもらったAさん。大学で経営コンサルを学んでいたAさんは当初一般企業への就職を考えていましたが、飲食店経営の現場にやりがいを感じ、中途半端に終わらせられないと、そのまま就職したのです。
その後も、需要に合わせたリニューアルを定期的に行うなど、安定感のある店舗運営で常連客を増やし、長年黒字経営を続けていたAさんでしたが、そんなAさんの目が飛び出すほど、驚きの事態が起こるのでした……。