老後資金の確保や健康維持などを目的に、定年後も働くシニアが増えています。なかには、金銭的に余裕があり、老後の生活に問題がなさそうな人物が働いていることも。しかし、現役時代の輝かしい経歴とプライドが、新しい職場では思わぬ「足かせ」となってしまうことも。本記事では、Aさんの事例とともに、定年後の再就職先でのトラブルと注意点について、社会保険労務士法人エニシアFP代表の三藤桂子氏が解説します。※プライバシー保護の観点から、相談者の個人情報および相談内容を一部変更しています。
(※写真はイメージです/PIXTA)
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“経験”が足かせになるケースも…「再就職」で大事にしたい心構え
日本の65歳以上の人口は増え続け、高齢化率は2023年10月現在で29.1%となっています。国民の3人に1人が高齢者となるなか、「定年後も働き続けたい」と考えている人も増加しており、男女とも半数以上います。
定年後のシニアが働く理由としてもっとも多いのが「収入のため」ですが、なかには社会とのつながりや健康管理のために働く人も。しかし、今回の事例のBさんのように、過去の地位を笠に着ていては、協調性に欠けてしまいます。
「郷に入っては郷に従え」ということわざもありますが、新しい環境やコミュニティを選んだからには、その環境のルールを守り、周囲に歩み寄ることも大切です。過去の経験を仕事に生かすこと自体は悪いことではありませんが、ルールを乱し職場環境を悪化させる行動はただちに見直すべきだといえます。
〈参照・出典〉
・国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」
https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2022/pdf/000.pdf
・内閣府「令和6年版 高齢社会白書(第1章高齢化の状況)」
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2024/zenbun/pdf/1s1s_01.pdf
三藤 桂子
社会保険労務士法人エニシアFP
代表