リタイア後の人生をどう生きるか。これはアメリカでも日本でも共通した課題です。本稿では、『How to Retire お金を使いきる、リタイア生活のすすめ』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集し、投資調査会社モーニングスターの資産管理およびリタイア計画担当ディレクターであるクリスティン・ベンツと人気ブロガー、フリッツ・ギルバートの対談から、そのヒントをご紹介します。
仕事・お金・人間関係…退職後の人生とどう向き合う?「リタイア1年前」にやるべきこと
職場以外での人間関係の構築
クリスティン:リタイアまで1年の節目にやるべきこととして、職場以外の人間関係を充実させるという項目もあげておられましたね。調査によれば退職後、とくに男性は友人とのつきあいが減ることがわかっています。これについて何かアドバイスはありますか? あなたの場合は同じ目的をもつ仲間を見つけられたわけですが。
フリッツ:男性は女性よりも人間関係の構築に苦労します。僕の場合というか、おそらく多くの男性が同じでしょうが、友人の95パーセントは職場関係です。毎日、長い時間を職場で過ごすからです。しょっちゅう顔を合わせますし、共通の話題がある。手軽なんですね。一緒にランチをとったり、飲みにいったりします。そういう関係を退職後も維持したいのはやまやまですが、そうはいかない場合が多い。
退職前の人と退職した人の交友関係について調べたところ、退職者が職場の人間関係を恋しく思う一方で、現役の人はそういう将来を予想していませんでした。調査結果のうち、退職者と現役世代の意識の差がいちばん大きかったのが交友関係だったのです。
退職後に職場の人間関係を維持するのはとても難しいでしょう。共通の話題が消え、毎日、顔を合わせる必要もなくなるからです。だんだん疎遠になるのが一般的です。
リタイアを1年後に控えた人にお勧めするのは〝職場の友人がいなくなったとして、休みの日は誰と出かければいいだろう?〟と自問することです。それまで意識してこなかっただけで、職場以外にも何かしらの知り合いはいるはずです。改めてそこに意識を向けましょう。外食するとか、週末に出かけるとか、互いの家で集まるとか、なんでもいいから行動を起こしてください。職場の人たちと疎遠になったあと、そばにいてくれる人を見つけてください。
これに関しては早く始めるに越したことはありません。人間関係を育むには時間が必要だからです。1年後にまだ知人から友達へ昇格している最中だったとしても、いきなり友人がひとりもいないと気づいて愕然とするよりはましです。意識的につきあいの幅を広げ、周囲の人たちと過ごす時間をつくりましょう。
そのためにも仕事以外に興味のあることを見つけてください。週末にボランティア活動をするとか、趣味の集まりに参加するのもいいでしょう。いろいろ試して自分が楽しめるものを見つけ、同じ趣味を持つ人たちを観察してください。その人たちと仲良くなれそうですか?親しくなれそうな人がいたらランチに誘ってみましょう。こうした努力は現役のうちから始めてください。人は、ひとりでは生きていけないのです。
クリスティン・ベンツ
ディレクター、コラムニスト
岡本 由香子
翻訳者