リタイア後の人生をどう生きるか。これはアメリカでも日本でも共通した課題です。本稿では、『How to Retire お金を使いきる、リタイア生活のすすめ』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集し、投資調査会社モーニングスターの資産管理およびリタイア計画担当ディレクターであるクリスティン・ベンツと人気ブロガー、フリッツ・ギルバートの対談から、そのヒントをご紹介します。
仕事・お金・人間関係…退職後の人生とどう向き合う?「リタイア1年前」にやるべきこと
■登場人物
・クリスティン・ベンツ…投資調査会社モーニングスターの資産管理およびリタイア計画担当ディレクター
・フリッツ・ギルバート…『退職宣言(ザ・リタイアメント・マニフェスト』ブロガー
リタイアの1年前にやるべきこと
クリスティン:リタイアを1年後に控えた人がやるべきことについて話しましょう。退職日が近づいたらカウントダウンアプリを使うよう勧めていますね。どうしてでしょう?
フリッツ:あれはすごくいいですよ。僕は千日前からカウントダウンしていました。携帯を見るついでにアプリを開いて、あと172日だと思い、次は165日だと思う。そうすると実感が湧きます。職場のあれこれが徐々に影を潜め、第2の人生がぐんぐんと速度をあげて迫ってくるんです。心の準備にはそのくらいの時間がかかります。
職場にいるときは100パーセント仕事に集中しますが、手がけているプロジェクトのことを四六時中気にかけるのはやめて、退職したら何をしたいかを考えるようになりました。カウントダウンと並行して、退職後の人生が現実味を帯びて立ちあがってきます。アプリを開くたび、自分にとって大きな変化が起ころうとしている事実を確認できてわくわくしますよ。
クリスティン:リタイアまで1年のチェックリストはとても具体的ですね。たとえば職場のパソコンに保存されている私的なファイルや写真をコピーするといったことがあります。そういったことについてお話しいただけますか? 立つ鳥あとを濁さず、という感じでしょうか。
フリッツ:僕の場合は何年ものあいだ職場のパソコンがいちばんよく使うパソコンでしたし、仕事用の携帯が唯一の携帯電話でした。職場のパソコンに個人的な情報を入れていない人なんていないんじゃないでしょうか。退職まで1年となったら、モーニングスター社から届く退職関連情報のメールをはじめ、購読していたメールマガジンをいったんキャンセルして、継続して読みたいものだけ個人のメールアドレスで再登録しました。すべての手続きを終えるのに数カ月はかかりましたよ。それでも退職する月には、職場に個人的なものは一切残っていませんでした。
職場のクラウドサーバーに保存してあった写真も1枚残らず移動しました。そうしておけば退職と同時に写真がすべて失われることもありません。個人の連絡先も同じで、職場でつきあいのある人の多くがプライベートでも交流がありましたし、そうでない人ともいつか連絡をとりたいと思うことがあるかもしれません。必ず時間をつくってアドレスを移しておきましょう。さもないと退職と同時につながりがぶっつりと切れてしまいます。
