2024年に「新NISA」がはじまって以降、投資を始める人が急増しました。一方、そのような状況でも「聞いたことはあるけれど、いまいちよくわからない」と、まだ始められていない人も少なくありません。ただ、それではあまりにも「もったいない」といえる状況になってきました。そこで今回は、「新NISA」の仕組みと利用時の注意点を見ていきましょう。15年間の証券会社勤務を経て、現在はJ-FLEC(金融経済教育推進機構)の講師としても活動するCFPの倉橋孝博さんが解説します。※本記事は、株式会社セゾンファンデックスが運営する『セゾンのくらし大研究』からの転載です。
新NISA、未使用はもったいなさすぎる…今すぐ新NISAをはじめたいこれだけの理由【お金のプロが解説】 (※画像はイメージです/PIXTA)

株価は常に上下する…つみたて投資で重要な「心構え」

 

しかし、「つみたて」というワードに惑わされないでください。「つみたて投資枠」は「つみたて預金」ではなく、あくまでも投資信託を買い続ける仕組みです。

 

投資信託は株や債券で運用するため、常に価格が上がったり下がったりしています。

 

したがって、仮に毎月投資信託を買い続け、100万円購入した時点でリーマンショックのような株価大暴落に見舞われた場合、100万円だったお金は半分ほどに目減りしてしまうかもしれません。背筋が凍ってしまいますね。しかし、ここで大切なのは「長期投資」の心構えです。

 

わかりやすいシミュレーションがあります。2003年1月から2022年12月までの240ヵ月、毎月末に世界株式で運用する投資信託を1万円ずつ買い続けました。2008年秋にリーマンショックが訪れた際、それまでの購入金額70万円は大きな評価損を抱え、その後4年間、買い付け金額を上回ることができませんでした。

参照:金融庁「つみたてNISA早わかりガイドブック」(P.5)

 

しかし、経済は構造を改革し、新陳代謝を繰り返しながら成長します。リーマンショックが起きた際にも、財政出動や金融政策のバックアップがあり、株価はなんとか回復しました。そして2022年12月、トータル240万円購入した投資信託は、690万円に増えていたのです。

 

株は常に動くものですから、損失を被ることも多々あります。アメリカの大手企業の株価ですら、3年に1年は下落する時期があることが多いといわれています。

 

しかし、20年以上運用していれば、過去の実績ではあるものの、おおよそ満足のいく結果になっています。「つみたて投資枠」も、運用のセオリーでは、20年以上継続していればある程度安定し、それ以降は購入金額を上回るところで上下するといったイメージです。時間を味方につけましょう。