核家族化が一般的となった昨今、離れて暮らす親とはどのくらいの頻度で顔をあわせていますか? 電話などでは定期的に連絡をとっていても、直接会うとなると、お盆や年末年始、GWなど、年に数回という人も多いのではないでしょうか。そこで今回、車で1時間の距離に暮らす親子の事例から、高齢の親とその子がそれぞれ気をつけておきたい「家計を守るためのポイント」をみていきましょう。辻本剛士CFPが解説します。
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後を絶たない「高齢者を狙った詐欺」の実態
近年、高齢者を狙った詐欺被害が後を絶ちません。特に、ひとり暮らしの高齢女性をターゲットとする悪質な手口が目立っています。
警視庁の報告によると、令和4年に発生した特殊詐欺のうち、65歳以上の高齢者が被害を受けた件数は1万7,570件中1万5,114件と、全体の86%以上を占めていました。
さらに詳しく見ると、被害者の多くが女性であることがわかります。
特に女性は男性より平均寿命が長く、配偶者に先立たれてひとり暮らしになるケースが多いため、詐欺のターゲットになりやすい傾向にあります。
また、相談相手がいないことで孤独になりやすく、セールストークや虚偽の話に冷静な判断ができなくなることも、被害を大きくする要因のひとつです。
加えて、認知症の初期症状がある高齢者は特に注意が必要でしょう。判断力が低下している状態で詐欺師や悪質な業者に接触してしまうと、契約内容を理解しないまま商品を購入したり、高額な金銭を渡してしまったりするリスクが高まります。
知っておきたい詐欺対策
これらへの対策として有効なのが、後見制度の活用です。
「後見制度」とは、判断能力が不十分な高齢者に対して、家庭裁判所が後見人(法定後見人)を選任し、契約行為や財産管理を代行またはサポートする仕組みです。もし詐欺による契約が行われた場合でも、後見人がその契約の無効や取り消しを主張できる可能性があります。
また、すでに被害に遭ってしまった場合は、できるだけ早く警察や消費生活センターに相談しましょう。時間が経過すると証拠が不十分になり、対応が難しくなる場合もあるため注意が必要です。
高齢のご家族がいる場合は、定期的な連絡や訪問による見守りに加え、こうした制度や相談先の情報を共有しておくことが被害防止につながります。
