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負担重い「住宅ローン」と「教育費」…しかし給与は上がらず
田中さんは2年前にマイホームを購入しました。駅近の4LDK、6,000万円の新築マンションで、4,500万円を借り入れたといいます。30年返済で月々の支払いは約13.4万円。返済負担率は20%ほどで、適正とされる範囲内です。
ただ、最近家計を圧迫しているのが、小学6年生の長男と小学4年生の長女の教育費です。中学受験を控える長男の塾代は月に5万円を超え、さらに季節講習などで年間30万円ほどの追加費用がかかります。
長男の頑張りに触発されたのか、長女も「私も塾に行きたい!」と言い出しました。子どものやる気を無下にするわけにもいきません。まだ小学4年生のため、国語と算数だけでも月に3万円、長期休みの講習を最小限に抑えても、年間でさらに10万円ほどの費用が発生します。
「子どもたちの将来のためだ。ここで投資を惜しむわけにはいかない」
しかし、教育費は公立と私立のどちらに進むかで大きく異なります。文部科学省の『令和5年度 子供の学習費調査』によると、公立中学校の学習費総額は年間約54万円に対し、私立中学校では約156万円と、100万円以上の差が生じます。これでは、中学受験の合格を素直に喜べない家庭もあるのではないでしょうか。
しかも、物価高で負担が増す一方、給与はほとんど上がらず足踏み状態です。
「新卒の給与は随分と上げたようですが、その分、私たち中堅層はさっぱりです。この年齢になると転職にも覚悟が要りますし、単に『給与が安い』という理由だけで会社を辞めては、失敗する確率も高い。会社も足元を見ているんですよ」
内閣府の経済財政報告によると、2023年4月~7月の平均賃上げ率は、29歳以下で前年比3.1%増、30代は2.4%増だった一方、40代と50代はいずれも0.1%減でした。2024年は全世代で賃上げとなったものの、29歳以下で4.2%増、30代で3.6%増に対し、40代は2.7%増、50代は1.0%増にとどまり、中堅層以上が「給与が上がらない」と嘆く実態が浮き彫りになっています。
「下の子が大学を卒業するまで、あと12年……。そのとき私は50代半ばです。長い我慢になりそうですね」
[参考資料]
文部科学省『令和5年度 子供の学習費調査』
内閣官房『新しい資本主義実現本部(第35回)配布資料』(令和6年4月23日)