月々の支払額を抑えることで手の届かない高級車に乗れることから、昨今マイカー購入時に「残クレ(残価設定型クレジット)」を選択する人が増えています。では、同じ車を残クレで購入する場合と現金一括で購入する場合、それぞれどのような家計状況となるのでしょうか。株式会社FAMORE代表取締役の武田拓也FPが、57歳Aさんの事例をもとに解説します。
残クレなんて使わない…年収600万円・貯金3,500万円の57歳サラリーマン「現金一括アルファード」で首都高を“ドヤ顔ドライブ”→わずか半年で手放したワケ【FPの助言】
「残クレ(残価設定型クレジット)」の仕組み
あらかじめ車両本体価格を一部据え置くことにより、残価設定(最終回の支払い金額)された金額以外を分割して支払うというのが残クレの仕組みです。これにより月々の支払いを抑えられ、車を購入しやすくなります。
また、最終回の支払い時には下記の3つの選択肢があります。
1.新車へ乗り換える
2.返却
3.買い上げ
「新車への乗り換え」の場合、基本的に最終回の支払いは不要で次の新しい車へ乗り換えることができます。
「返却」の場合も最終回の支払いは不要です。ただし、車の状態が悪かったり、走行距離が事前に決められた規定よりもオーバーしていたりすると別途「精算金」が発生します。
「買い上げ」は、そのまま乗り続けたい場合に最終回の支払い分を一括清算または再度、分割払いにして車を買い取る方法です。
残クレはこのように便利な仕組みになっていることから、定期的に新車へ乗り換えたい人や、なかなか手の届かないハイグレードな車に乗ってみたい層から人気を集めています。
現金一括購入は「正解」なのか?
今回、Aさんは人気のアルファードを現金購入しました。
残クレで車を購入し、最終的に「買い上げ」を選ぶ(=その車を所有することを選ぶ)場合、購入時にあらかじめ「残価」(下取り価格)が保証されていることから、買い上げの際に相場が下がっていても安心できるという特徴があります。
その一方で、残価設定された金額にも金利がかかるため、一括購入よりも支払う総額が膨らんでしまうというデメリットがあります。
Aさんは相続によりまとまった金額が手元にあったことから、「購入」だけにフォーカスすれば、「現金一括購入」は賢い選択といえるかもしれません。しかし、「人気の車を自分のものにする」ことだけにとらわれ、購入後の維持費にまで考えがおよんでいなかったようです。
年収が十分にあるか、手元にもっと資金があれば相場が下がったタイミングでアルファードを売却しなくて済んだかもしれませんが、Aさんにとって維持費の負担は重すぎました。
そもそも、Aさんの住まいは都内の駅近と好アクセス。車の必要性は高くありません。車を手放すだけで家計収支は大きく改善され、問題はなくなります。