息子の思いとは裏腹に…母、突然の「帰宅宣言」のワケ

FPの助言をもとに冷静になったAさんは、「母は寂しくて甘えたかったのかもしれないな」と反省。そして、正式に同居を提案することにしました。

「母さん、こないだはごめん。言い過ぎたよ。ここが気に入ってるんなら、もしよかったら一緒に住まないか?」

するとBさんは、意外な反応を見せました。

「ありがとう。だけどね、お断りするわ」

「こないだいろいろ言ってもらって、目が覚めたの。ここは景色もきれいで街も華やかだし、いままでとは全然違う暮らしに浮かれていたわ。お洋服やバッグだって買うまではワクワクするけれど、いざ手に入れても使うところがないし。あなたにバシっと言ってもらってね、甘えてたなと思ったの」

「本当にごめんなさいね。また、たまに遊びに来るわ」

そういうと、Bさんは荷物をまとめ、実家に帰って行ったそうです。

“適切な距離感”で親のもしもに備える

後日、AさんはFPに言いました。

「もとの生活に戻れてホッとしていますが、1人暮らしの母が心配なことには変わりありません。これからは自分のことだけではなく、母をサポートできる体制も考えます」

親が高齢になれば、それまでの関係性がどうであれ、看護や介護が必要になる可能性が出てきます。親だからといってプライベートエリアの占拠は困りものですが、適切な距離感で、親の“万が一”に備えておくことが大切です。

牧野 寿和
牧野FP事務所合同会社
代表社員