タワーマンションの「南向き・高層階」は、日当たりや眺望、快適な住環境を求める多くの人にとって魅力的な条件とされています。ですが、住まい選びの価値観や資産価値の変動には、立地や部屋の向き、時代のニーズが大きく影響します。理想と現実、その間にあるギャップについて考えてみませんか。
悔しい…南向きのタワマンを「1億2,000万円」で買った〈世帯年収2,000万円超〉の30代パワーカップル、3年後に知った「残念すぎる現実」 (※写真はイメージです/PIXTA)

南向き・高層階・駅チカ…理想尽くしのタワマンだったが

「南向きの高層階、駅徒歩1分でこの立地なら、将来的な資産価値も期待できる」

 

不動産営業マンの一言が決め手となり、都内・再開発エリアに建てられた新築のタワーマンションを3年前に買った田中悠真さん(仮名・当時38歳)と美咲さん(仮名・当時36歳)。世帯年収2,000万円を超える、羨望の眼差しを送られるパワーカップルです。

 

南向きの高層階、価格は1億2,000万円。ジム、ラウンジ、スカイビュー付きの共用施設。雨に濡れることなく駅まで行ける点も気に入りました。「多少値が張っても、住環境と将来の資産価値を考えれば、むしろお買い得だと思ったんです」と田中さん夫妻は振り返ります。

 

「でも、南向きのタワマンはやめておけといわれているし」

 

そんなやっかみを耳にしたこともあります。確かに、南に大きく窓の取られた南向き、高層階のタワーマンションの部屋は、暑くなりすぎるといわれています。また強い日差しのせいで、床や家具が色褪せしてしまうという経験談も。

 

「うちはいまのところ大丈夫ですね。夏と冬で日の入り具合は変わりますし……夏はどこの家庭でもエアコンがフル稼働じゃないですか。南向きのタワマンだから損をしたと思うことはないです」

 

むしろ、冬は日が入り、暖房いらずというメリットもあるとか。「本当にいい買い物をしました」と、田中夫婦はニッコリ。また資産性についても営業マンから聞いていた通り、期待できるといいます。

 

「先日、興味本位で不動産サイトをみたのですが、いくつかうちのマンションでも売りに出されている部屋がありました。ビックリするくらいの価格で。今、マンションを買おうとしたら、どれくらいになっていたんだろう……と、怖くなっちゃいました」