(※写真はイメージです/PIXTA)
老人ホームで充実のセカンドライフを送るはずが…
田中良子さん(78歳・仮名)が、都内にある介護付き有料老人ホームへの入居を決めたのは、1年前のこと。同じ教員だった夫を亡くし、失意のなか、一人暮らしには寂しさと不安を感じたのがきっかけでした。遠方で暮らしている子どもたちも不安を募らせていたようで、ある日、老人ホームへの入居を勧めてくれました。
最初、「老人ホームって、どこか暗い感じがして嫌だ」といった良子さん。しかし「最近の老人ホームはきれいで明るくて。以前のような印象はどこにもない」と子どもたち。そこで、近所のホームに見学にいったところ、子どもたちがいうように明るい雰囲気が漂っていたのです。
俄然、老人ホームに興味が湧き、老人ホーム選びが始まりました。ポイントは大きく3つ。まずは予算。良子さんが受け取る年金は月18万円ほど。さらに貯金が3,000万円ほどあります。経済的には余裕があるほうでも、できれば年金だけで入居できる施設がいい。さらにまだまだ介護を必要としない良子さん。アクティブに過ごせる人たちも多く入居するホームが希望でした。そして、何よりも重要だったのが食事。まだまだ健康体で、食へのこだわりが強い良子さん。食事の美味しさに定評のあるところが希望でした。
こうして見つけたのが、自宅からは1時間ほど、閑静な住宅街にある介護付き老人ホーム。自立の人も入居することができ、その割合は入居者の3割ほど。レクリエーションが盛んな点もポイントです。また食事に力を入れているところも好印象。予算的にもバッチリでした。
【老人ホーム選び…金額と立地で重視したもの】
スタッフの質・雰囲気…32.4%
すぐに入居できるか…32.2%
医療体制…28.2%
室内の清潔さ…25.1%
入居者の雰囲気…24.2%
人員体制の手厚さ…23.0%
面会方法、施設から家族へのサポート…21.5%
食事の内容・質…21.4%
出所:株式会社LIFULL senior/LIFULL 介護『介護施設入居実態調査 2025』
入居後の生活は、想像以上に快適なものでした。同じように読書が趣味の友人ができ、週に一度はラウンジで読書会を開いたり、天気の良い日には中庭を散策したりと、穏やかで知的な刺激に満ちた毎日。気の合う仲間と食卓を囲み、談笑する時間は何物にも代えがたい喜びでした。経済的な不安もなく、心穏やかなセカンドライフ。良子さんは、自分の選択に満足していました。