娘の小学校入学を機に、念願のマイホームを手に入れたITエンジニアの佐々木さん(仮名)。その事実を母親へ報告したところ、後日母親からまさかの「絶縁宣言」を受けてしまいます。いったいなにがあったのか、核家族化が進むなか増えている「親子の認識のズレが生むトラブル」について、佐々木さん家族の事例をみていきましょう。山﨑裕佳子FPが解説します。
もう話したくない…神奈川の6,000万円・中古マンションを買った年収700万円の41歳サラリーマン、67歳母から突然「絶縁宣言」されたまさかの理由【FPが解説】
突然の「絶縁宣言」にパニックのユウキさん
佐々木一家がマンションへ引っ越して3ヵ月ほど経ったときのこと。ユウキさんのスマホが突然鳴りました。発信元は、母・シズエさんです。
ユウキさんの問いかけには答えず、シズエさんは一方的に詰め寄りました。
シズエ「マンションを買ったってことは、ずっとそっちに住む気なのよね?」
ユウキ「? しばらくはそうだと思うよ。ミライの学校の選択肢も多いし。ハルカと話し合って決めたんだ」
シズエ「ふうん……信じてたのに。私はずっと待っていたのに、地元に戻ってくる選択肢はないわけね? あなたたち夫婦には裏切られたわ。もう話したくない。顔も見たくない! 一生連絡しないでちょうだい!」
突然の激昂と「絶縁宣言」に、ユウキさんは驚きを隠せません。
「地元に戻るって、静岡に帰るってこと? そんな話一度もしたことがないじゃないか。いったいどうしたんだよ……」
ユウキさんはどうすればいいかわからず、スマートフォンを片手に途方に暮れてしまいました。
ユウキさんが抱いていた“よこしまな期待”
そんなユウキさん、実は住宅ローンの返済について“とある目論見”がありました。それは、シズエさんからの「金銭援助」です。
シズエさんは父が亡くなった際に多額の遺産を相続していました。そのため「母さんのことだから、マンションを買うといえばきっと援助を申し出てくれるはず」という“よこしまな期待”があったのです。
ところが、シズエさんの想定外の反応でこの計画は水の泡に。ユウキさんは先々が心配になり、今後の資金繰りについてファイナンシャルプランナー(FP)に相談することにしました。
FPが提案した「現実的な返済計画」
ユウキさんから一連の経緯を聞いたFPは、下記の返済計画を提案しました。
〈FPが提案した「住宅ローン返済計画〉
■借入残高:4,860万円
・変動金利:0.375%
・返済期間:24年
・返済方法:元利均等返済
・年間返済額……211万7,796円
・毎月返済額:17万6,483円(ボーナス返済なし)
FP「日々の生活にはゆとりがあるということであれば、月々の返済額を増やしてみてはいかがでしょうか。
一般的に、住宅ローンの年間返済額は額面年収の25%以内がよいといわれますが、余裕をみて20%以内と考えた場合、ユウキさんとハルカさんの年収から計算すると年間返済可能額は約210万円になります。
現在の借入残高から年間返済額を210万円としてシミュレーションすると、65歳で完済可能です」
FPがこう説明すると、ユウキさんは「いまのところ返済額が月5万円アップしても、家計に影響はない」と言います。
しかしFPは続けて、「ただしこの先、住宅ローンの変動金利は上昇することが予想されるため、返済額も増える可能性が高いです。ローンの金利以上に収入が増えなければ家計がひっ迫する恐れもあるので注意してください」と釘を刺しました。
具体的な返済プランを提示してもらったことで、金銭的な不安が少し和らいだユウキさん。しかし、彼にはまだ大きな問題が残っています。