“火種”は生前に摘んでおく…「相続トラブル」回避のポイント

今回の事例では、これまで知らなかった父の過去を葬儀の場で知るという衝撃的な事実があったものの、遺言書の存在と付言事項がこれを緩和してくれました。

相続に関わる立場からしても、たしかに遺言書を作成し付言事項を残すことはトラブル回避につながるため、おすすめしています。

しかし、正直なことをいうと、やはり亡くなってから知るよりも、生前に直接伝えられるよう日頃からコミュニケーションをとっておくことが大切だと感じます。

また実際には、付言事項が相続人間のトラブルの火種となるケースも存在します。そのため、遺言書を準備する際には、あとに残される人のことを想い、入念に準備することを心がけてほしいです。

「どうして……と思ったのが正直なところですが、まあ、言えなかったんでしょうね……。父も、長いあいだ後悔とともに悩み続けてきたんだと、遺言書を読んで思いました。いまは安らかに休んでほしいと思います。

私ももう60近いですし、家族に伝えたいメッセージと一緒に遺言書を準備しておこうと思います」

長男のBさんはのちに、今回の出来事を振り返ってそう話してくれました。

大竹 麻佐子
ゆめプランニング 代表
ファイナンシャルプランナー(CFP🄬)
相続診断士