糖尿病になると、網膜や腎臓、神経に合併症を発症することがあります。複数の医療機関を受診することが考えられるため、糖尿病連携手帳というものも配布されているそうです。糖尿病専門医である大坂貴史氏大坂氏の著書『血糖値は食べながら下げるのが正解』(KADOKAWA)より、糖尿病の治療について詳しくみていきましょう。
(※写真はイメージです/PIXTA)
糖尿病専門医が伝授…完治が難しい「糖尿病」との“ストレスフリー”な付き合い方【医師の助言】
網膜症の進行を確認するため「眼科」を受診
「こちらをお渡ししますので、こちらを持って早めに『眼科』も受診してください」
渡された手のひらサイズの冊子には、“糖尿病連携手帳”と書かれてある。
「これは何ですか?」
「これは“糖尿病連携手帳”といって、患者さんと、関係する医療機関や医療関係者とが、検査結果や治療方針を共有しながら治療を進めるための手帳です。糖尿病に関わる検査結果や治療内容などを記録できるようになっているほか、日常生活での注意点、緊急時の対処法や糖尿病のわかりやすい解説が書かれています」
「そうですか。でも、なぜ“眼科”なんでしょう?」
「血糖値が高い状態が続くと、細く小さい血管からダメージを受けます。そのうちの1つが“目の網膜の血管”です。『網膜症』は糖尿病の合併症の1つとして知られていて、網膜の血管が傷ついたり、出血を起こしたりすることで視力が低下して、失明に至ることもあります。網膜症の検査は、糖尿病外来では行うことができないため、眼科を受診して調べてもらっています」
「私、目が見えづらいということはありませんが……」
「初期段階では症状がほとんどなく、気づかないことが多いのです。だから、定期的に検査をしていただくことが大切なんですよ」
「なるほど」
「ほかにも腎臓や神経に障害が出る合併症にも気をつける必要がありますが、現状、横田さんには特に問題視すべき兆候はなさそうです。では、1か月後にまた受診してください。どうぞお大事になさってくださいね」
「はい。ありがとうございました」
<先生からの処方箋>
網膜症の初期はほとんど無症状。
糖尿病と診断されたら、眼科の受診が必須
大坂 貴史
糖尿病専門医・指導医
総合内科専門医