堅実な暮らしで資産を貯め、退職金も十分の65歳の元公務員夫婦。とあるきっかけで「有料老人ホーム」に入居を決めたものの、その暮らしは“予想外”の連続でした……。牧野FP事務所合同会社の牧野寿和CFPが事例をもとに、老人ホーム入居時の注意点と老後の資産形成について解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
後悔しています…〈年金月35万円・貯金1億円〉65歳の元公務員夫婦が「高級老人ホーム」に入居→たった3ヵ月で「築45年の安アパート」に引っ越した“お金の問題ではない”理由【CFPの助言】
引っ越しから約1ヵ月…Aさんがこぼした“後悔”
その後1ヵ月ほど経って、Aさんから筆者に連絡がありました。駅近の閑静な住宅街にある手ごろなマンションが見つかり、築45年のアパートは退去したそうです。
「やっぱり、自分の家があるのは安心ですね。いま思うと、定年になって浮かれていたのかもしれません。旅先の豪華なホテルを探す気分で老人ホームを探してしまい、後悔しています」
夫婦が老人ホームを探すことになったのは「友人の相続トラブル」がきっかけでした。しかし、夫婦の子どもが相続で揉めないよう対策するのであれば、なにも夫婦が高級老人ホームに入居する必要はありません。銀行預金と実家を売却したお金を折半するよう、あらかじめ子どもたちに話をしておくか、心配なら遺言書を残しておけばよかったのです。
老人ホーム退所後に作成した“完璧な老後のライフプラン”を定年前に練り上げておけば、今回のような事態は防げた可能性が高かったでしょう。
大筋でも、老後のお金の使い方を事前に決めておくことは重要です。もしも予算以上に費用が必要となった場合でも、趣味や予備費から削ったり、収支を調整したりすることが容易になります。
老後の無駄な散財を防ぐためにも、現役のうちに定年後のお金の使い方を考えておきましょう。
牧野 寿和
牧野FP事務所合同会社
代表社員