施設は最高、お金も余裕。でも…入居後に判明した“致命的な誤算”

入った施設は、まるで高級リゾートホテルのよう。豪華な施設にホスピタリティ溢れるスタッフ、美味しい食事……夫婦が住む居室の設備も十分です。「最高の老後が始まった」と確信したA夫婦。しかし……

入居した施設は70代後半~80代と、夫婦より10歳~20歳年の離れた入居者が集まっていました。また、入居者は士業や経営者など教養と資産を兼ね備えた人ばかり。公務員としてこれまで質素堅実に暮らしてきたA夫婦は、入居者たちから見下されているように感じました。

入居者たちと話が合わず、夫婦はだんだんと食事やお風呂などの必要なタイミングを除いて、あまり部屋から出ないようになってしまいました。

さらに施設には「外出や外泊、食事のキャンセルは2日前までに所定の届け出が必要」などといった細かい決まりごとが多く、自由に出かけることはできません。

「ここはホテルじゃなくて、老人ホームなんだな……」

しだいに夫婦は、豪華な反面空虚で不自由な生活に耐えられなくなり、高級老人ホームを「終の棲家」とすることは不可能だと、退去を決意しました。入居してたった3ヵ月足らずでの出来事です。

高級老人ホームから一転、築45年の安アパート暮らしを決断

退去するとはいえ、すでに自宅は売却済み。慣れ親しんだ家は解体工事が始まっています。

そこで夫婦は、地元で賃貸物件を探すことに。しかし、不動産仲介業者は「無職の高齢者」に冷たく、なかなかいい物件を借りることができません。

なんとか粘った末、築45年・2DK・家賃月8万円のアパートを紹介されたA夫婦。迷いましたが、高いお金を払いながら他者へ劣等感を抱く日々に限界寸前だったふたりは高級老人ホームを退去し、このアパートに引っ越しました。

これまでの暮らしとはまったく異なる景色に、目の前の現実を受け入れたくない様子のA夫婦。そんな両親を心配した息子は、両親に知り合いのファイナンシャルプランナー(FP)を紹介。息子の厚意を無下にはできないと、A夫婦はFPに今後のライフプランを相談することにしました。