二世帯・三世帯同居の親子関係から同居孤独死へのリスク

以前から高齢者の孤独死は社会問題になっていますが、「孤独死=一人暮らし」ではなくなっていることをご存じでしょうか。最近では、「同居孤独死」と呼ばれるより深刻なケースが問題視されています。

同居孤独死の全国共通の定義はありませんが、例えば大阪府では「同居家族がいる場合で、死亡から発見まで4日以上経過したもの」と定義しています。多くの人は、家族と同居している人が死後数日経過してから発見されるとは思わないでしょう。しかし、家族と一緒に暮らしていても、それに気づかれないまま亡くなってしまうケースがあるのです。

大阪府のデータによると、同居孤独死の発生件数は2017年に24人、2018年に35人、2019年に31人と推移しています。コロナ禍の2020年から2021年にかけては一時的に減少したものの(20人、18人)、2022年には再び25人に増加しています。この数字は氷山の一角に過ぎず、全国規模では相当数の同居孤独死が発生していると考えられるでしょう。

このような事態が起きる背景には、勝木さんのように同居している家族間のコミュニケーション不足や無関心があります。また、家族が「元気そうだから大丈夫」と思い込み、高齢者の様子を細かく確認しない場合もあるようです。

さらに、同居孤独の状態は、詐欺被害のリスクも高めます。2024年のオレオレ詐欺被害は1,566件(前年比+747件)、被害総額は108億8,563万円(前年比+75億8,148万円)にも上ります。特に家族との交流が少ない高齢者は、人とのつながりを求める心理から詐欺師の言葉に騙されやすくなるのです。

「同居孤独」に陥りやすい高齢者の特徴としては、①家族との会話が極端に少ない、②食事を一人で取ることが多い、③体調の変化を家族に伝えない(または伝えられない)、④外出や社会活動が減少している、などが挙げられます。

勝木さんのケースでは息子夫婦との関係悪化に加え、多額の貯蓄があることでさまざまな勧誘を受け、孤立感がさらに深まっています。家族と同居していても安心とは限らないという現実を多くの人が認識する必要があるでしょう。