中古住宅を購入するときの注意点

中古住宅を選ぶ際、本記事でご紹介したような事例は、実はよくあることです。

安達さん夫婦が購入したような欠陥住宅は不動産会社が補償しなければならないような場合もありますが、隙間が多い昔の家はゴキブリや虫の侵入を許していたり、断熱の施工の質が低かったりして、夏は暑く冬は寒い、冷暖房のエネルギー消費が大きい家になっていることが多いものです。

また、1981年の耐震基準前に建てられた家などは耐震性能に不安がある場合も少なくありません。そして、目に見えない部分の傷みがあったり、後々修繕が必要になったりすることもあります。

こういった一見しただけでは気づきにくい瑕疵(あるいは今後瑕疵になり得る損傷)や、不動産会社側の補償の対象には含まれないが起きる可能性のある問題を事前に把握するために、「ホームインスペクション(住宅診断)」という方法があります。

※瑕疵(かし)…住宅の欠陥や不具合、欠点、

ホームインスペクションは欠陥住宅を見抜くだけでなく、今後どの程度の修繕費等がかかりそうか診断してもらうこともでき、「その家を本当に買っても大丈夫か?」を判断するためにとても有効な方法です。中古住宅を購入する際には、利用されることをおすすめします。

また、地方でタダ同然で手に入るような家も、まったく住むことができないわけではありません。断熱、耐震性能を強化し、現代の住宅性能と同等な快適な家にリノベーションすることもできます。

中古住宅を選ぶ際にはこういった住宅の知識を事前に身につけ、ホームインスペクション等も活用しながら購入すべきか慎重に判断する必要があります。

空き家(中古住宅)は買い方次第で「資産」にも「負債」にもなる

国土交通省が公表する「令和6年度住宅経済関連データ/世帯数、住宅戸数の推移」によると、令和5年の住宅総数に対する空き家率は14%となっており、毎年右肩上がりで増え続けています。

こうした空き家の増加は、今後さらに進行すると考えられており、政府も空き家対策に力を入れています。安くマイホームを手に入れるには空き家の購入もよい選択肢ではありますが、安さだけで飛びつくと、今回のような問題が起きてしまうことも多いものです。

上手に活用すれば格安で快適な住まいを手に入れることもできますので、どういった問題が起きているのか、現在は様々な手段で情報を仕入れることができますので、事前にしっかりチェックし、どう対策して進めていけばよいか考えていきましょう。

限られた老後資金だからこそ、より慎重な判断をしなくてはなりません。それが今回の事例から学べる、最も大きな教訓といえるでしょう。

小川 洋平
FP相談ねっと