「歳を取ってからもずっと賃貸で暮らすのは不安」「家賃を払うよりもローンを払ったほうがよい」こう考えて、小さくてもいいからと家を買う人も少なくないでしょう。しかし、購入する住宅を間違えると老後の生活が苦しくなってしまうことも……。今回は、安達孝弘さん(63歳・仮名)の事例と共に、中古住宅を購入する際の注意点について小川洋平FPが詳しく解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
こんな家買うんじゃなかった…現金一括1,600万円で中古住宅購入&リフォームを決行した63歳会社員。終の棲家のはずが「異常事態」連発に悲鳴、アパートへ転居の悲しい顛末【CFPの助言】
社宅を退去し、終の棲家として念願の持ち家を購入
安達孝弘さん(63歳・仮名)は30年以上勤めた地方の大手メーカーを定年退職しました。退職金は1,800万円。65歳以降は妻の早苗さん(60歳)の公的年金と合わせて24万円程度は受け取れる予定です。
営業職で県内を転々としていたうえ、社宅に住むことができたためマイホームを買わずにいた安達さん。しかし、その分住居費を抑えられ、結果として1,000万円以上の資産を形成することができました。そのため、年金の受け取り開始までの期間は、パートで生活費を得ながら生活していこうと考えていました。
そんな安達さんは、退職と共に社宅を退去。そのタイミングに合わせて1,200万円で一戸建ての中古住宅を現金一括払いで購入し、400万円で水回りもリフォーム。計1,600万円を投じ、「終の棲家」として暮らすことにしました。
現金一括払いで購入したため住宅ローンはありません。それに加えて、少し歩けば1時間に1本は駅までのバスが出ており、病院も比較的近くにあるという好条件な立地。何不自由なく老後を過ごすことができる環境でした。
しかし、実際に生活がスタートすると悲劇に見舞われることになります。