見えない問題を“見える化”する大切さ

このような「子どもの自立が不完全な家庭」は、現代の日本では少なくありません。特に、50代・60代の“パラサイトシングル”が親と同居し続け、経済的に依存するケースは社会問題化しつつあります。

今回のように娘さんが現状を問題として認識していて、対話ができそうな状態であるならば、まず家計の未来予想図を“見える化”することから始めてみるのも有効です。

現在の支出・収入・貯蓄・資産内容を明確にし、親が生きていると考えられる間、そして娘さんが生きているであろう期間の収支と預金や金融資産の残高のシミュレーションを行います。

まずは「このままだとどうなるのか？」を具体的に認識し、問題点を客観的に分析することが大事です。今回のケースですと理解力は高い娘さんですから、しっかり問題を数値化して見せてあげることで現状を理解することはできるでしょう。

そして、問題を認識できたならば、どうやって問題を解決するかを考えることもできます。単純に就職して収入を得れば解決する問題かもしれませんが、本人にとってそれはハードルの高いことですので、あまり無理をせずに収入を増やす方法を考えてみることもできます。

単発で行っていたアルバイトの頻度を増やしてみたり、リモートワークで働いてみたりといった選択肢が考えられます。現在はリモートワークで事務代行の仕事を請けることも可能なので、少しずつ無理なく収入を増やすことも可能でしょう。

また、現在ある預貯金の一部を「守りの投資」にすることで資産寿命を延ばすことも可能です。そして、持ち家に掛かるコストを減らすために、売却して小さな中古マンションに住み替えることも家の管理コストも下げ、将来娘が一人になった場合にも維持しやすくなります。

見える化から始めることで、自分達と娘さんの今後の生活設計を考えることもできます。現状を改善する選択肢は無数にあり、長期的な計画を立てることができれば無理せずに生活を成り立たせることもできるでしょう。

今何をしたらよいかを考えるためにも、まずは現状の見える化から始めることが重要です。