広がる所得格差が深刻な影を落とす現代。低収入にあえぐ人々は、現状を打破しようと懸命にもがきますが、その道のりは険しいといわざるを得ません。なかでも、就職氷河期にあたる40代、50代となった現在も非正規雇用にとどまる人々にとって、その閉塞感は一層深いものです。本記事では、社会保険労務士法人エニシアFP代表の三藤桂子氏が氷河期世代の実情を紐解いていきます。※プライバシー保護の観点から、相談者の個人情報および相談内容を一部変更しています。
年金なんて端っから期待してません…48歳手取り月14万円「当然、老後破産です。」“新卒50社不採用”で非正規雇用を続ける氷河期世代の吐捨て【FPが解説】
迷宮を抜けるには
2023(令和5年)賃金構造基本統計調査結果の概況では、新規学卒者の初任給は大学卒で月23万7,300円となっています。なかには月30万円を超えている企業もあり、メディアで取り上げられ話題となりました。一方のAさんの平均給与は月収19万円。賃金格差が広がっていることがわかるでしょう。
就職氷河期世代の人のなかには、前段のように競争に負けて精神的なダメージを受け、引きこもりになる人もいるなか、幸いにもAさんは非正規雇用で働いています。ですが、今後迷宮を抜けるにはどうしたらよいのでしょうか。
厚生労働省では、就職氷河期世代支援を行っています。たとえばハローワークでは正社員就職などを目指したさまざまな無料支援です。すでに相談したことのある場合、知らなかった支援制度や、以前は対象外だったものが現在の状況で利用できる可能性がないか、改めて確認してみてはいかがでしょうか。
就職氷河期世代が直面している問題は根深く、個人の努力だけでは解決が難しい側面もあります。社会全体としてこの世代への理解を深め、再チャレンジを支援する仕組み作りも求められます。Aさんが前向きに自信をもって働くことができることを願うばかりです。
〈参考〉
※1 内閣官房:就職氷河期世代の就業等の動向
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/shushoku_hyogaki_shien/suishin_platform/dai5/siryou1-1.pdf
※2 厚生労働省:令和6年3月大学等卒業者の就職状況(4月1日現在)を公表します
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000184815_00049.html
※3 内閣府:第2章 人口減少時代における働き方を巡る課題(第2節)
https://www5.cao.go.jp/keizai3/2019/0207nk/n19_2_2.html
※4 厚生労働省:令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2023/index.html
※5 厚生労働省:就職氷河期世代活躍支援
https://www.mhlw.go.jp/shushoku_hyogaki_shien/
三藤 桂子
社会保険労務士法人エニシアFP
代表