「夫に先立たれて、こんな生活が待っているなんて…」68歳、年金は月9万円。長年専業主婦の女性が、自営業だった夫の突然の死を機に直面した老後の現実とは? 専業主婦が見落としがちな“収入の落とし穴”と、今からでもできる対策を、FPの三原由紀氏が解説します。
たったこれだけですか?…年金わずか「月9万円」の衝撃。夫急死で急転直下の68歳元専業主婦、待ち受ける困難の老後に恨み節「夫が死んだら、私の老後も死んだ」【FPの助言】
68歳からの「働く再出発」…自分らしく無理なく収入を得る方法とは?
「今さら働くなんて無理」と感じる方も多いかもしれません。しかし、文江さんのように年金だけでは暮らしていけない場合、少しでも収入源を持つことは心の安定にもつながります。
主婦経験を活かせる代表的な仕事
・スーパーやドラッグストアでのレジ、品出し
・家事代行
・清掃スタッフ
・保育補助、介護施設の補助スタッフ
・郵便物の仕分けや軽作業
また、最近では60代以上向けの在宅ワーク(データ入力、通話モニターなど)も増えてきています。体力に自信がない場合は、ハローワークの「生涯現役支援コーナー」や市区町村のシルバー人材センターで自分に合った仕事を探してみるのもよいでしょう。専業主婦だった方ほど、老後に“経済的な孤独”に陥りやすくなります。年金額の少なさに加え、働く経験の不足が自信喪失にもつながってしまうからです。
だからこそ、以下のような3つの備えが大切になります
1. 自分で使えるお金を少しでも確保する
月5,000円でも、1万円でも、継続的な収入があることは生活の支えになります。年齢を言い訳にせず、自分ができる範囲で探す姿勢が重要です。
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2. 固定費の見直しと「使わない生活」の意識
通信費や保険、新聞やサブスクなどの見直しを徹底することで、月数千円の節約が可能です。
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3. 年金制度の「仕組み」を知る
自分と配偶者の年金見込み額、遺族年金との関係、調整の仕組みを把握することで、「想定外の収入減」を防げます。
「『まさか、こんなことになるとは思わなかった』と制度を嘆いても、お金は増えません。でも、いまできることに目を向けて、少しでも動き出せば、老後の不安は和らぎます」
そう語る文江さんの言葉は、決して特別な人だけに起きた話ではないということを私たちに教えてくれます。「夫が元気なうちに」「自分が元気なうちに」、まずは小さな備えから始めてみませんか。
参考
※令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
https://www.mhlw.go.jp/content/001359541.pdf
三原 由紀
プレ定年専門FP®