投資に興味はあるけれど、なにをどうすれば良いかわからない人は多いでしょう。「損をしたくない」「怪しいのではないか」という思いから投資を始められない人もいるのではないでしょうか。そこで今回は、投資初心者向けに、知っておきたい投資の基礎知識や投資の種類、投資成功のポイントを解説します。まずはこの記事を読むところから、投資を初めてみてはいかがでしょうか。

 

投資とは?知っておきたい基礎知識

 

投資は資産形成方法の一つです。まずは投資の基本知識を見ていきましょう。

投資で資産形成しよう

日本の銀行預金は超低金利といわれており、銀行にどれだけ預金していても1年で得られる利息はわずかです。そのため、単に銀行に資金を預けるのではなく、余剰資金を利用して資金を増やす「投資」が注目されています。

 

投資と聞くと、多額の資金や専門知識が必要だと考える人もいますが、投資には数千円から手軽に始められるものもあります。もちろん、投資を始めるなら基本的な知識は持っておくべきですが、専門的な知識は本格的に投資するまでに、少しずつ身に付けていけばよいでしょう。

 

投資初心者はまず少額投資から始め、慣れてきたら投資金額や投資の種類を増やしていくのがおすすめです。

投資で利益を得る仕組み

投資で利益を得る仕組みは投資の種類によって異なります。投資で得られる利益の一例として、利息と売却益を紹介します。

利息

利息はお金を借りた際に、借主が貸主に対して支払う対価のことです。銀行に資金を預けると利率に応じて利息が支払われます。先述のとおり、日本の金利は低く大きな利息は見込めませんが、日本より金利の高い国の銀行へ資金を預ければ、より大きな利息を得られるでしょう。なお、一般的に投資期間が長いほど得られる利益は大きくなります。

 

売却益

売却益は株や不動産などを売却した際に得られる利益です。1株1,000円で購入した株を、1株1,200円で売却した場合、差額の200円が売却益となります。金融商品の価値は社会情勢などによって日々変わるため、今後価値が上がりそうな金融商品に投資することで、より大きな売却益を得られるでしょう。

 

投資ではさまざまな方法で利益を得られますが、一方で金融商品の購入時や保有時、売買時には手数料がかかります。また、金融商品によっても収益性や安全性、流動性などが異なるため、金融商品ごとの特徴を知ることが大切です。

 

投資にはリスクもある

資産形成手法として有用な投資ですが、メリットばかりではありません。投資には、価格変動リスク、信用リスク、流動性リスクなどのリスクがあり、これらのリスクを理解しておく必要があります。

 

価格変動リスク

株(株式)などの金融商品の価格が変動するリスク。社会情勢や市場の影響を受け、価格が投資元本を下回る可能性があります。

 

信用リスク

投資先の企業が長期的に存続するかが確実ではないリスク。元本や利息が支払われ続けるかが確実ではありません。

 

流動性リスク

金融商品を売りたくても売れなくなるリスク。流動性は金融商品の換金のしやすさを表し、流動性が低いと買い手がつかない可能性が高まります。

 

為替変動リスク

為替相場の影響で金融商品の価格が変動するリスク。米ドルやユーロなど、外貨で運用する金融商品の場合、為替の影響を受けるようになります。

 

残念ながら投資のリスクをすべて回避する方法はありません。しかし、リスクを最小限に抑えられるよう工夫することはできます。自身が許容できるリスクの範囲内で投資するよう心がけましょう。

初心者向け投資5種類

ここでは、投資初心者にもおすすめの「国債」「投資信託」「株式投資」「不動産投資」「外貨預金」についてそれぞれ解説していきます。違いを意識しながら、それぞれの特徴を把握してください。

国債

国債は国が発行している債券のことです。国債を購入することで定期的に利息が支払われ、期間満了時には元本が返済されます。

 

国が発行しているため信用性が高く、元本割れのリスクがないのが国債の大きなメリットです。また、日本の個人向け国債であれば1万円から購入可能であるため、気軽に購入できます。

 

国債の利回りは一般的には、預金よりも高く、株や投資信託など他の投資と比べると低いです。

 

投資信託

投資信託は、投資家から集めたお金を投資の専門家が運用し、得られた利益を投資家へ還元する仕組みです。投資先がひとつの投資信託もあれば複数の投資信託もあるため、投資先を手軽に分散できます。

 

投資先を分散できると、どれか一つの金融商品が大きく値崩れしてしまっても、その他の金融商品の利益で損失をカバーできるため、利益が減るリスクを抑えられるのがメリットです。

 

また、投資信託は運用を専門家に任せられるため、投資初心者も安心して投資できます。ただし、投資信託に元本保証はないため、生活費を十分に確保したうえで、余剰資金で投資に臨むことが大切です。

 

株式投資

企業が発行する株を購入し、配当金や株主優待、売買差益を得る投資方法です。

 

配当金:持ち株数に応じて分配される現金配当のこと
株主優待:企業が株主にプレゼントする自社製品などのこと
売買差益:株式を売却した際に得られる利益のこと

 

また、企業の出資者の一人として、議決権や請求権などを行使することもできます。

 

株価は経済状況や市場環境、企業の業績になどによって変化します。そのため、株式投資には値下がりリスク、倒産リスク、流動性リスクなどがあり、利益を上げるためには市場の動向などを注視しておく必要があるでしょう。元本保証もないため、いつどの株式を売買するかは慎重に検討することになります。

 

不動産投資

不動産を購入し、家賃収入や売却益を得る方法です。ワンルームマンション、一棟買い、戸建てなど、投資先はさまざまであり、投資が軌道に乗れば安定した収入を得られます。

 

現物不動産投資にかかった費用は経費として計上できるため経費が増えた分、所得を抑えられ、結果的に所得税や住民税を減らせます。また、現金よりも不動産のほうが、資産価値が低く評価されるため、資産を相続した際に納める相続税の削減が可能です。

 

ただし、不動産投資では、入居者を確保できず空き室が増えて家賃収入が得られなくなるリスクや、建物の老朽化や自然災害などにより建物の修繕が必要になるリスクなどがあります。不動産投資は長期的な視野で計画的に行なうのが基本だといえるでしょう。

 

外貨預金

外貨預金は円を米ドルやユーロなどの外貨に換えて預金することをいいます。日本よりも利率が高い国の銀行に預金すれば、より多くの利息を得られるでしょう。

 

外貨預金で得られる利益は、世界情勢や預け先の国の社会情勢、為替変動などによって変動します。また、換金時の為替手数料や為替変動により日本円に換えた際に元本を下回るリスクがあります。

 

投資成功の3つのポイント

投資を成功させるにはどのような点に注意すれば良いのでしょうか。投資で注意すべきポイントを3つ紹介します。

投資を分散させる

投資にはリスクがありますが、投資先の銘柄や地域、投資時期、通貨を分散させることで投資リスクを抑えられます。金融商品ごとのリスクを把握し、リスクを補い合えるように投資先を分散させましょう。

 

投資先は自身で分散させることも可能ですが、複数の銘柄を組み合わせた投資信託を購入すれば、手軽に投資先を分散できます。保有する金融商品に偏りがないかをチェックして、リスクを分散させましょう。

 

計画的に少額から投資する

金融商品の価値は一定ではなく、リターンがプラスになることもあればマイナスになることもあります。一方で、投資した金融商品の値が下がったからといってすぐに資産を売却してしまうと、将来得られたかもしれない利益を逃す可能性があるかもしれません。日々の変化に一喜一憂せず、長期的な視野で投資することが大切です。

 

投資初心者のなかには、金融商品の値動きが気になってしまう人もいるでしょう。まずは少額の投資から始め、少しずつ計画的に投資額を増やし、リスクを最小限に抑えて投資していくよう心がけてください。

 

資産運用向けの制度を利用する

個人の投資をあと押しするため、国は「iDeCo」や「NISA」といった制度を設けています。iDeCoやNISAを活用すると、掛金や運用益に対して税制上の優遇措置を受けられるため、積極的に利用するとよいでしょう。

 

iDeCo

確定拠出年金法に定められる私的年金制度です。申し込みや掛金の拠出、運用方法の決定は投資家自身で行ない、掛金と運用益、給付時に税制上の優遇措置を得られます。掛金は月々5,000円から設定可能で、上限は加入資格によって異なります。

 

NISA

2種類の投資枠を活用して、年間投資額の範囲内で購入した株式や投資信託などの運用益が非課税になる制度。生涯にわたる非課税保有限度額が設定されており、非課税で保有できる期間が無期限になったことが大きな特徴です。

 

現在利用できるNISAには、年間120万円まで積立投資に適した商品(投資信託など)に投資できる「つみたて投資枠」と、年間240万円まで、個別株や投資信託など幅広い商品に投資できる「成長投資枠」の2種類があります。これらの投資方法はいずれも、早く始めるほど複利の効果を活かしてより効率的な資産形成が期待できます。もし投資を検討されているのであれば、早めに始めることをおすすめします。

 

投資を始めるには?

投資を始めるには、まず投資専用の口座を開設する必要があります。銀行や証券会社へ口座の開設を申し込み、必要な手続きを行ないましょう。

 

金融機関によって取り扱う金融商品の種類、サービス内容は異なります。どのような金融商品に投資したいのかなどをふまえて、複数の金融機関を比較してから口座を開設するのがおすすめです。

 

口座が開設できたら、実際に投資してみましょう。投資は余剰資金で行ない、リスクをふまえて少しずつ投資額を増やしていくのがおすすめです。

まとめ

人生100年時代と呼ばれているなか、長期的に資産を形成していく手法として、「投資」が注目されています。投資にはリスクもありますが、リスクを最小限に抑えながら投資すれば、余剰資金で資産を生み出せるでしょう。

 

投資初心者の場合は、まずは投資の基本を身に付け、少額から投資をしながら投資の方法より深く学んでいくのがおすすめです。まずは自身のリスク許容量の範囲内で、小さく投資を始めてみましょう。

 

【監修者】

名前:齋藤 彩(さいとう あや)


所有資格:AFP(Affiliated Financial Planner)、薬剤師免許


おもなキャリア:急性期総合病院において薬剤師として勤める中、がん患者さんから「治療費が高くてこれ以上治療を継続できない」と相談を受けたことを機にお金の勉強を開始。ひとりの人を健康とお金の両面からサポートすることを目標にファイナンシャルプランナーとなることを決意。現在は個人の相談業務・執筆活動を行っている。

 

 

※本記事は「COZUCHI magazine」で、2023年08月29日に公開された記事の転載です。