見栄は身を亡ぼす…「結婚祝い」のボリュームゾーン

株式会社リクルート「ゼクシィ結婚トレンド調査2024」によると、挙式と披露宴・ウエディングパーティーにかけるカップルの自己負担額は平均161.3万円となっています。

このうち、親や親族からの援助が「あった」人は74.2%と7割を超えています。援助額を使った金額の平均は168.6万円で、100万円未満が18.9%、100~200万円未満が39.5%、200~300万円未満が26.9%、300~400万円未満が10.0%となっています。

また、一般社団法人不動産流通経営協会「不動産流通業に関する消費者動向調査〈第29回(2024年度)〉」によると、住宅購入時の親からの受贈額は、500万円以下が17.1%、500万円~700万円以下が34.3%、1,000万円以上~2,000万円以下が34.3%などとなっています。

これを見ると、金額に限っていえば、AさんがCさんに行った援助は平均的であるといえます。

A夫妻が繰下げを中止しなかったワケ

窮地に立たされたAさんは、知り合いのファイナンシャルプランナーである筆者のもとを訪ねました。

定年後10年間のてん末を振り返ったあと、Aさんは次のように言いました。

「実は、貯蓄だけの生活を始めて2年くらいで不安になり、予定していた旅行も行くのをやめてしまったんです。だけど、63歳から『特別支給の老齢厚生年金』が入ってきたので、落ち着きを取り戻しまして……。

娘に援助したときは、2回とも妻に止められたんですが、『あと2年で年金がもらえるから』と必死に言い聞かせたんです。大好きな娘ですから、前々から『時が来たら十分な金額を援助しよう』と決めてはいたんですが、具体的な金額までは決めていなくて……。

こんな思いをするなら、60歳以降も働いて収入を得たり、65歳から普通に年金をもらったり、いくらでも選択肢はありましたよね。自分たちが大きな選択ミスをしたことに、いまになって気づきました。

あんなにたくさんお金があったのに、貯蓄の使い道も全部2人で決めてしまって……。計画を変えるのが怖かったんです。いま考えると、あの段階で相談すればよかったですよね」

後悔の弁が止まらないAさんです。