定年後の第二の人生には長年勤務した会社に勤め続けるだけでなく、転職や起業といった選択肢もあります。しかし、よかれと思ったチャレンジが失敗に終わるケースは珍しくありません。場合によっては経済的に苦境に陥るおそれもあるでしょう。ある事情で定年後に自営業を選択した池田さんの事例から、セカンドライフで起業を選択する場合の注意点とリカバリーについて、CFPの松田聡子氏が解説します。
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60代で病気と付き合いながらの資金繰り立て直し策
池田さんのような状況に陥った場合、現実的な生活設計の見直しが急務となります。まず収入面では、池田さんは65歳から夫婦合わせて月額約25万円の公的年金を受給できる見込みです。
それまでの約3年間は残された貯金を取り崩しての生活が基本となります。池田さんの妻も病弱なために就労は難しく、池田さん自身もリウマチという制約があるなかで資金計画を立てなければなりません。
年金受給開始までの期間を乗り切るには不要な保険の整理、固定費の削減といった、家計全体の見直しが必要です。池田さんの場合は預金を大きく減らすことにはなりますが、なんとか生活していけるでしょう。
そうでない場合は、老齢年金の繰上げ受給が視野に入ります。持ち家の人は、リバースモーゲージやリースバックの活用なども選択肢となるでしょう。
治療費については、医療費の負担を軽減できる制度を最大限活用することが重要です。高額療養費制度を利用すれば、月々の医療費の自己負担には所得水準による上限が設けられ、超えた分は払い戻しを受けられます。
池田さんの場合は住民税非課税と想定されるため、上限額も最低水準となります。また、自治体によってはリウマチのような難病の治療費を助成する制度が設けられているため、利用可能かどうか確認してみるとよいでしょう。