大きな出費が重なり家計が苦しい時期はどの世帯にもあります。そんなとき、クレジットカードの「リボ払い」で切り抜けるという選択肢を選ぶ人は、すでに家計に問題があるかもしれません。今回は、小さなリボ払いが大きな借金になってしまった松永さん(仮名・52歳)の事例と共に、そのリスクを小川洋平FPが詳しく解説します。
年収800万円・52歳中流サラリーマンが「泥沼借金地獄」の末、自己破産。夢のマイホームを失い家族に涙の謝罪…始まりは「今回だけ」「3万円だけ」【CFPの助言】
マイホームを手離し…子どもたちの学費も払えない危機
どこのカード会社からの借り入れも上限に達してしまい、返済を延滞していたある日、追い詰められた松永さんは消費生活センターに相談。紹介された弁護士に勧められ、自己破産を決意したのでした。
「家も手離すことになり、学費ももう出してあげられないかもしれない……」
家族にもこのように伝え、謝罪。自己破産の手続きを進めていきました。
マイホームは手離し引っ越すことになりましたが、学費は子どもたちが奨学金を借りることでなんとか賄うことができています。
当初、松永さんが不安に思っていたように子どもたちを学校に行かせられないということにはなりませんでしたが、奨学金という「実質的な借金」を子どもに背負わせることになったことは、父親として痛恨の思いでした。
自己破産という言葉から想像するほど、実際の生活には大きな支障がないことが救いですが、クレジットカードが作れないこと、ローンを組めないことには不便を感じています。もう二度と、自分のマイホームを持つことはできないでしょう。
基本は家計管理!まずは家計を見える化すること
リボ払いやカードローンはあくまで緊急時にお金を用立てる手段であり、もしも借りたならばできるだけ早期に返済することが必要です。
そして、もしも返済が大変になってしまった場合には金融機関で比較的低い金利で借換えすることで金利負担を小さくし、利払いを減らすことも可能です。
そもそもこのような状況になる前に、家計の収支をしっかり管理しておくことが必要でした。毎月の収支がマイナス続きである状況がわかっていれば支出を減らす努力もできたでしょうし、子どもたちの進学資金の貯蓄もできました。
また、進学資金を自分達の収入と貯蓄だけで支払うことが難しいと思えば奨学金や学資ローンといった方法で、リボ払いを選ぶことなく低金利で教育費を確保することもできたはずです。
問題、課題が明確になればあとは可能な限り支出を減らしつつ収入を増やし、収支がしっかりプラスになる計画を立てて実行するのみです。目の前の収入と支出のことしか意識していないと、こういった当たり前のことも考えられなくなってしまいます。