年金について、満額受給が可能な65歳を基準に、受給時期を繰り上げ(繰り下げる)ことで受給額が変化することを知っている人は多いでしょう。平均寿命が伸び続ける日本では「繰下げ受給」を奨励する論調が多いように感じますが、はたして本当にそれでいいのでしょうか? 繰下げ受給を選択した67歳男性の事例をもとに年金制度のしくみと注意点をみていきましょう。FPの石川亜希子氏が解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
年金の繰下げ受給はやめとけ…年金月25万円を目指して“我慢”していた67歳男性、同級生から聞いた「衝撃の事実」に悲鳴【FPの助言】
「繰上げ」と「繰下げ」はどちらが得?
年金の受給額25万円を目指して我慢しながら毎日節約していた自分と、好きな仕事をしながらしっかりと年金も受け取っているBさん。
「年金がたくさんもらえる」ことに目がくらみ「いまを楽しむ」ことを後回しにしている日々の自分と比べ、AさんにはBさんがとてもまぶしく見えてしまいました。
「もし、自分が明日ポックリ死んでしまったら、年金は1円も受け取れないってことか……」
これから自分の身に起こることと今後の暮らし方を考え、Aさんは深く思い悩んでしまいました。
正解は人それぞれ…自分が納得のいく選択を
年金の繰上げ・繰下げには一長一短あり、正解は人それぞれです。年金の受給開始時期を繰り上げれば早く受け取れる安心感があり、繰り下げれば将来の受給額が増えます。
健康状態や資産状況、ライフスタイルや価値観によっても答えは異なりますし、どちらを選択しても後悔することはあるかもしれません。
年金制度は年々変化し、複雑化しています。「自分がどんなふうに生きたいか」に目を向けながら、自分が納得できる選択を考えてみてはいかがでしょうか。
石川 亜希子
AFP