マイホームを検討する際、多くの人が頭を悩ませる“戸建orマンション”問題。総務省の「令和5年住宅・土地統計調査」によると、日本の持ち家の約6割は戸建で、特に郊外ではその割合が高くなります。家庭菜園が趣味の鈴木さん夫妻もその1組でした。株式会社FAMOREの山原美起子CFPが、念願だったはずのマイホームに翻弄される共働き夫婦の事例を紹介します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
た、助けて…世帯年収900万円の30代共働き夫婦〈埼玉の庭付き戸建〉を4,000万円で購入。趣味の家庭菜園もはかどりご満悦→わずか2年で「買わなきゃよかった」と後悔のワケ【FPの助言】
妻からの“サプライズ”に顔が曇る大輔さん…夫婦仲は険悪に
そんな暮らしを続け、新居を購入してから2年ほど経ったある日のこと、大輔さんが仕事から帰ると夕子さんから衝撃のひと言が。
「子どもができたみたいなの」
喜びに包まれた2人ですが、大輔さんは内心不安が拭えません。
「子どもが生まれるってことは、当面は収入が減るのか。ただでさえ家と車のローンでカツカツなのに、大丈夫だろうか……」
2人は次第に、顔を合わせればお金の話ばかりするようになり、些細な支出を巡って深刻な夫婦げんかに発展。
「もう! こんなことなら家なんて買わなきゃよかった!」
そう吐き捨てると、その日から夕子さんは家事をしなくなり、大好きだった庭の手入れもやめてしまいました。
「せっかく理想の家を買ったのに、夫婦仲は険悪になるし、お金もかかるし、通勤も不便になった。妻が産休に入ったら、収入が減ってますます資金繰りが苦しくなる。だ、誰か助けて……」
家庭崩壊の危機に焦りを抱いた大輔さんですが、SNSでは私生活の充実感をアピールしていただけに、知り合いには相談できません。そこで専門家の意見を聞こうと、ファイナンシャルプランナー(FP)へ連絡。相談に訪れました。
“こだわり優先”はNG…FPが「見直しましょう」と提案した5つの支出
鈴木夫妻の問題点は、ライフプランについて十分に考慮しないまま、“こだわり”を優先して戸建てを購入してしまったことにあるでしょう。
共働きで収入が多い状態を基準に住宅ローンを組み、新しい環境で増える支出や立地による生活への影響を甘く見積もったことで、家計に余裕がなくなってしまいました。
FPは2人の話を聞き、まずはお金の不安を取り除くため、現在の収支を確認。そして、住宅ローンや車、固定費など、下記の「5つの支出」を見直すことにしました。
- 「住宅ローン」の見直し
- 「車」の見直し
- 通信費・光熱費など「固定費」の見直し
- 「家計管理方法」の見直し
- 「財形貯蓄」の休止