待望の初孫に愛する息子からのサプライズ…幸せな毎日を過ごす70代夫婦

山本誠さん(仮名・75歳)は現在、2歳年下の妻敏子さん(仮名・73歳)と2人暮らしです。夫婦の主な収入は月24万円の老齢年金で、そのほかに3,500万円の貯蓄があります。

長いあいだ不妊に悩まされてきた夫婦は、40代でようやく授かったひとり息子の直人さん(仮名)を大切に育ててきました。

直人さんは優しく明るい性格で、大学時代に同じサークルで出会った同い年の菜穂さんと30歳で結婚。

その後、菜穂さんを連れて実家に挨拶に訪れた直人さん。朗らかな人柄の菜穂さんは、両親ともすぐに打ち解けました。その日、母の敏子さんと楽しそうに夕食の準備をしている姿をみて、直人さんは菜穂さんに打ち明けました。

直人さん「実は、いずれは同居して親の面倒をみようと思っているんだけど……。考えてみてくれないかな?」

恐る恐るそう尋ねると、予想に反して菜穂さんは前向きでした。

菜穂さん「お義父さんもお義母さんもすごくよくしてくれるし、私は大丈夫だよ!」

しばらくして、直人さんと菜穂さんのあいだに念願の第一子が誕生。誠さん夫妻にとっては“待望の初孫”です。

誠さん「直人の小さいころによく似ているよ」

敏子さん「そうねぇ。でも、目元は菜穂さんにそっくり。可愛いわぁ。」

直人さん「いざ親になると、母さんや父さんの気持ちがよくわかる。授乳に寝かしつけで菜穂も俺も寝不足だけど、この子のためならなんでもできるって思うね」

敏子さん「そうでしょう。困ったときはいつでも頼ってね。しばらく菜穂さんも大変でしょうから、落ち着くころまで泊まっていってもいいのよ」

直人さん「あぁ、それでちょっと相談があってさ。……もしよかったら、俺たちと一緒に住まない?」

誠さん「えぇっ!? いや、俺たちは大歓迎だが、菜穂さんは大丈夫なのか?」

菜穂さん「はい。初めての育児で不安もあるし、お義母さんやお義父さんがいてくれると心強いです」

敏子さん「まぁ! 喜んで協力させてもらうわ!」

こうして相談の末「お互いのプライバシーを保ちつつ、困ったときは助け合えるように」と、約5,000万円の二世帯住宅を購入することにしたそうです。

大喜びの誠さんは「せめてものお礼ができれば」と、住宅資金贈与の特例を活用して1,500万円(当時)を生前贈与し、住宅資金の一部を援助することに。残りの3,500万円は直人さん名義で住宅ローンを組みました。

月々の返済額は12万円で、直人さんの年収は650万円。返済比率も30%未満に抑えられており、金融機関の審査もすんなり通過しました。

こうして誠さん夫妻と直人さん一家の3世代で、幸せな同居生活がスタートします。しかし……。