年金収入だけではゆとりのある生活が難しいいま、老後への備えは必須です。ただ、定年直前に焦って準備を始めると、取り返しのつかない事態に陥ってしまうことも……。貯金と退職金で「老後は安泰」だと信じていたサラリーマンの事例をみていきましょう。神戸・辻本FP合同会社代表の辻本剛士氏が解説します。※プライバシー保護のため、登場人物の情報は一部変更しています。

悔しい…〈年収750万円・貯金2,000万円〉定年直前の59歳サラリーマン、同僚の“余計なお世話”が招いた大惨事。たった半年で貯金の半分を失ったトホホな理由【FPが警告】
「安泰の老後を手に入れるため」だったはずが…
その後、含み益が順調に増え、先物取引の魅力を少しずつ実感し始めた陽介さん。スマートフォンで相場のニュースを確認すると、どのメディアも「景気回復が続く」「株式市場はさらなる上昇を期待」などと楽観的な見通しを伝えています。
陽介さん「なあ、投資額を増やそうか悩んでるんだけど、どう思う?」
慎重な陽介さんがこう尋ねると、Aさんは即答しました。
Aさんに背中を押され、陽介さんはついに決断。
相場の上昇を信じて疑っていない陽介さんは、思い切って1,000万円を追加投資。運用する銘柄についても再考し、3銘柄のうちパフォーマンスがよく、相性もいいと感じていた「日経225先物」に絞ることにしました。
日経平均は4万円を突破!陽介さんの頭のなかは…
陽介さんが投資額を増やした2024年2月、日経225(日経平均株価)は3万6,000円前後で推移していました。その後も相場は上下動を繰り返しながらじわじわと上昇を続け、3万8,000円を超えます。
(このまま順調にいけば、かなりの利益になりそうだ……)
もはや最初に抱いていた慎重な気持ちは、どこかに行ってしまったようです。
そして3月、日経平均株価はついに史上最高値を突破。日経平均が4万円に達するのは、1989年以来です。ニュースでは連日「史上最高値更新」「日本経済は新たなステージへ」などと報じられ、世間も投資家たちも沸き立ちます。
陽介さんの利益も順調に膨らみ、含み益は500万円に到達しました。
(このまま行けば、まだまだ上がるぞ!)
一部の専門家は「日経平均株価が5万円まで上昇する」と強気の予想。陽介さんもすっかりその予測を信じ、今後のさらなる利益に胸を躍らせていました。
相場は調整局面もあったものの、再び上昇。7月には4万2,000円に達し、陽介さんの利益もついに800万円に到達しました。いまや、陽介さんの頭のなかには不安など一切ありません。
(まだまだ上がる、もっと増やせる!)