(※写真はイメージです/PIXTA)
娘からの訴え
新生活が始まり、娘は近所の小学校に通いはじめました。通っていた幼稚園からは離れた学区だったため、最初は友達ができるか心配でしたが、すぐに馴染み、同じタワマンや近隣の子たちと遊ぶようになりました。
小学校入学から1年後、娘は小学校2年生になりました。夕食中に娘は無邪気に話しだします。
「私もみんなと同じ中学に行きたい」名前を挙げたのは近隣の私立中学。友達が中学受験を目指していると知り、娘も影響を受けたようです。さらに、「友達の家はホテルみたいで、ピアノがある」「英会話や習字も習ってる」と話し、自分もピアノや塾に通いたいと言いだしました。
鈴木さん夫婦は公立中学・高校から私立大学に進んだ経験しかなく、娘も同様の進路を想定していました。しかし、タワマンに住む子どもの親は、鈴木さん夫婦のはるかに上をゆくような高所得者(経営者や役員など)が多く、教育費に多額を投じる環境に驚きました。習い事程度なら対応可能ですが、ピアノ購入や中学受験となると家計が厳しく、物価高も相まって不安が募ります。
もうひとつの想定外
娘にはピアノを我慢してもらい、英会話教室と塾に通わせることに。すべての希望は叶えられませんでしたが、友達と一緒に通えるため、娘も納得しました。
ところが、夫の会社では組織の大幅編成があり、マイホーム購入時には想定もしていなかった転勤話が浮上。単身赴任になると手当があっても二重生活で出費が増え、家計が圧迫されます。
話し合いの末、タワマンを売却し、家族一緒の生活を優先することに。妻のテレワークを活かし、都心から離れた場所で一軒家を購入しました。数年かけて資産形成し、やっとの思いで手に入れたタワマンはわずか1年で手放すことになったものの唯一の後悔は、ライフプランを見誤り、娘を友達から引き離したことだといいます。娘を悲しませないよう、無理のない人生設計を立て直しています。
住宅ローンは想定外のリスクも考慮し、無理のない返済計画を
救いは、タワマンがすぐに売れたこと。夢に固執せず家族の幸せを選んだ判断は正しかったと信じています。鈴木さんは「最近妻と娘が韓国アイドルにハマっているので、年1回は韓国旅行に連れていければ!」と前向きです。
住宅ローンを組む際には、将来のライフプランの変化や収入の変動、家族構成の変化など、さまざまなリスクを考慮した無理のない返済計画を立てることが重要です。夢の実現も大切ですが、家族の幸せと将来の安心を両立させるためには、柔軟な対応と長期的な視点が必要不可欠でしょう。