2025年2月にカリフォルニアで第1号となる案件が竣工
さて、米国における買い取りリノベ再販事業の第1号案件として、大東建託 が2024年8月に取得したのがカリフォルニア州ロサンゼルス郡レドンドビーチに位置する木造2階建ての賃貸住宅8棟32戸である(下、竣工前と竣工後の写真)。レドンドビーチはロサンゼルス市の南に位置する有数の高級住宅地として知られ、同物件には大規模なリノベーションが施され、2025年2月に無事竣工した。
「1棟4世帯の小ぶりな木造アパートで、売主様はかつてそのエリアに多数の物件を所有する大地主でしたが、相続などの関係で切り売りを続け、最後に残っていたのが私どもが取得した8棟です。築60年で老朽化が目立っていたものの、好立地であったことから満室状態でした。ただ、売主様は修繕やリフォームに対応することにもすっかり辟易しており、その物件のポテンシャルから想定される水準の半分程度に賃料を据え置いていました。そこで、取得後に屋根から壁、ガレージ、庭に至るまで、設備の入れ替えも含めて徹底的なリノベーションを行い、新築と見紛うレベルの工事を遂行したのです」
リノベーションに投じた費用は、1棟当たり日本円換算で1億円近くに達した。むろん、それだけの資金を投下して十分に採算が合う物件に再生できることを入念にリサーチしたうえでの決断だ。純粋な日系企業が入居者の退去も伴うここまで本格的なリノベーションを手掛けたのは、ほぼ他に例を見ないという。
競合物件よりも利回りが高く、富裕層にも好まれやすい物件に
「とにかく収支に関し、徹底的にこだわったリノベーションでした。賃料収入を取得前の2倍に引き上げるとともに、運営上で発生する費用もできるだけ抑えられるようにしました。かなり保守的に見積もっても、賃料に対する経費率は35〜37%程度に抑えられそうです。その結果、同物件を購入していただくオーナー様はもちろん、新たに入居する方々、そして事業として取り組んだ当社にとって“三方よし”のプロジェクトになったと自負しております」(田邉さん)
こうした取り組みが奏功し、収支が同じエリアで仲介で取得できる賃貸アパートの収支と比べ、相対的に高い利回りを期待できるという。しかも、同物件は地元で高い人気を誇る公立高校の学区に該当し、富裕層が好んで住む場所でもある。
「単体の建物に対して新築同様のリノベーションを実施しただけにとどまらず、8棟が立ち並ぶ一角をストリートまで含めて再開発したので、そのエリア全体に新たな環境を生み出せたことも画期的だったと思います」(田邉さん)
ロサンゼルスといえば、甚大な被害をもたらした山火事が記憶に新しい。
「ロサンゼルスの高級住宅街に大きな被害が発生した山火事など、物理的に離れた地域で発生する災害からの影響などを不安視する方もいらっしゃいます。当社では、現地法人で雇用するスタッフもおり、取引先を介した間接的なやり取りにならずタイムリーな情報提供やサポートが可能です。山火事に限らず、不測の事態が生じてもサポートできるよう、日本からの駐在員も含め米国での体制充実を拡大させています」(田邉さん)
こうした海外不動産を法人名義で取得した場合には、より大きな節税効果を得られる可能性も高い。日本の税制には「簡便法」と呼ばれる減価償却費の計算方法があり、それを用いると法定耐用年数を超えた中古物件は新築物件よりもはるかに短期間で償却できる点もメリットだ。
今回の再開発物件は、大東建託グループの顧客をはじめ、個人の投資家や事業者向けに販売される。そして、引き渡し後の物件管理も、Daito Kentaku USA, LLCなど米国グループ子会社で受託し、