どんなに潤沢な老後資金を蓄えていても、何が起こるかわからないのが人生。65歳の本山さん夫婦の事例をもとに、老後起こりうる“思わぬリスク”と、最悪の事態を回避するための対策をみていきましょう。神戸・辻本FP合同会社代表の辻本剛士氏が解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
愛だけではどうにもならないんですね…〈年金月23万円・貯金3,000万円〉子のいない65歳“晩婚カップル”が「老後破産」に怯えるワケ【CFPの助言】
超高齢化社会・ニッポンの根深い問題
近年、日本では高齢者が高齢者を介護する「老老介護」が社会問題となっています。厚生労働省の「2022(令和4)年国民生活基礎調査」によると、介護を行う人が65歳以上である割合は63.5%にのぼることが明らかになりました。
これはつまり、介護を必要とする人の多くが高齢者であり、それを支える側もまた高齢者であるという実態を示しています。
わが国では「人生100年時代」といわれるほど寿命が延びる一方、病気やケガなどにより日常生活が制限されることなく過ごすことのできる「健康寿命」との乖離が課題となっています。高齢になっても健康に過ごせる期間には限りがあり、いずれ介護が必要になる人も増えていく……その結果、65歳以上の子どもが親を介護するケースが増加し続けているのが現状です。この状況は今後も続くと予測されています。
本山さん夫婦のように、親の介護が終わったと思ったら、次は兄弟姉妹の介護が始まるというケースもあれば、親と配偶者、あるいは複数の家族を同時に介護しなければならないケースもあります。
老後の資金計画を立てる際、多くの人が「自分たちの生活費」にフォーカスしがちですが、それだけでは不十分な場合があります。
家族構成にもよりますが、老後のライフプランを考える際は「自分だけでなく、家族の介護費用も視野に入れること」が重要です。
