60歳で定年退職し、老後は料理上手な妻と一緒にカフェを始めようと考えていた山本さん(仮名)。子どもたちがプレゼントしてくれた温泉旅行の最中、満を持して妻に打ち明けると、驚きの返事が返ってきました。いったいなにがあったのか、定年後の「セカンドライフ」で起きる“思わぬ事態”について詳しくみていきましょう。FP Office株式会社の一二三幸恵FPが解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
冗談だよな?…退職金1,800万円・60歳の元サラリーマン、定年祝いの「箱根温泉旅行」で天国から地獄に突き落とされた“妻のひと言”【FPが解説】
山本夫妻の「その後」
温泉旅行のあと、直人さんは紀子さんと話し合いをして、資産と年金は折半することにしました。ただ、結婚後すぐに買った家には直人さんが住み続けることとなり、紀子さんは子供の家の近くにアパートを借りて引っ越していったとのこと。
紀子さんはずっと前から、直人さんが定年を迎えたら離婚をしようと考えており、資産や年金の分割についても調べていたそうです。
夢見ていたカフェも老後資金も、思っていた未来とはほど遠いセカンドライフとなった直人さん。
「自分はずっと幸運な人生を歩んでいると思っていたが、その人生を支えてくれていた妻のことをなにもわかっていなかった。妻の思いに気付けなかったのは本当に情けない」と、うつむき加減で話してくれました。
紀子さんが離婚を決意した理由は色々あると思いますが、そのひとつは夫婦のコミュニケーション不足だったのでしょう。
せっかく相手を思ってしたことでも、相手が同じ思いとは限りません。長年ともに生活してきた夫婦だからこそ、普段からコミュニケーションをとって、お互いの思いを共有していくことが大切です。
【参考】
■厚生労働省『令和4年度「離婚に関する統計」の概況―人口動態統計特殊報告―』
■最高裁判所『令和5年度 司法統計年報(家事編)』
■日本年金機構『離婚時の年金分割』
一二三幸恵
FP Office株式会社
ファイナンシャルプランナー