60歳で定年退職し、老後は料理上手な妻と一緒にカフェを始めようと考えていた山本さん(仮名)。子どもたちがプレゼントしてくれた温泉旅行の最中、満を持して妻に打ち明けると、驚きの返事が返ってきました。いったいなにがあったのか、定年後の「セカンドライフ」で起きる“思わぬ事態”について詳しくみていきましょう。FP Office株式会社の一二三幸恵FPが解説します。
冗談だよな?…退職金1,800万円・60歳の元サラリーマン、定年祝いの「箱根温泉旅行」で天国から地獄に突き落とされた“妻のひと言”【FPが解説】
冗談だろ?…直人さんの目の前が真っ暗になった「妻のひと言」
「いつも1人で勝手に決めて、私の気持ちは聞いてもくれないのですね。もう限界です。私も妻を退職します。離婚してください」
「えっ……い、いやいや、なにを言っているんだ、冗談だろ? なあ、冗談だよな?」
てっきり喜んでくれると思い込んでいた直人さんは、一気に天国から地獄へと突き落とされた気分に。
1年間に約18万組が離婚している日本
厚生労働省によると、令和4年の離婚の全体件数は17万9,099組(同居期間不詳の1万2,894組を含む)で、3年連続減少傾向にあり、ピークの平成14年の28万9,836組に比べると38.21%減っています。 一方、同居期間20年以上の夫婦の離婚は3万8,991組で全体の21.77%(同居期間不詳を含む)を占め、この数字はここ20年以上、4万組前後で高止まりしている状況です。
気になる離婚の理由と順位は、夫と妻では下記のように異なっています。
「定年離婚」で財産はどうなる?気になるお金の問題
■今までのお金(共有財産)=結婚してから離婚までに築いたお金
・財産分与(持ち家など夫婦の共有財産を分けること)
・年金分割(厚生年金の分割ができる)
■これからのお金(片方から片方へ)=今後の生活のお金
・慰謝料(不倫やDVなど離婚のおもな原因があるとき)
・養育費(経済的に独立していない子供がいる場合)
結婚してから築いた共有財産は、どちらか1人しか働いていなくても共働きでも、基本的な考え方は折半になります。双方の話し合いで割合を変えることもできますが、問題なのは、すべての財産が簡単に分けられる物ばかりではないことです。
特に、住宅ローンが残っている持ち家の場合、売却して現金化するのか、どちらかが住み続けるのか、その場合ローンはどうするのかなど、自分たちだけでスムーズに進めることは難しいでしょう。
また、年金分割についても協議が必要です。その際、下記の制度についても知っておく必要があります。
■合意分割制度……当事者の一方または双方からの請求により、婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を当事者間で分割することができる
■3号分割制度……国民年金の第3号被保険者からの請求により、平成20年4月1日以後の婚姻期間中の第3号被保険者期間における相手方の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を2分の1ずつ、当事者間で分割することができる
それぞれ条件がありますが、請求期限は原則、離婚等をした日の翌日から起算して2年以内です。
年金分割や資産分割をする際には、色々な手続きが必要となります。離婚を考えるとき、離婚が決定したときは、ふたりで築いた財産をどのように分割するか、しっかりと協議することが重要です。

