冗談だろ?…直人さんの目の前が真っ暗になった「妻のひと言」

「いつも1人で勝手に決めて、私の気持ちは聞いてもくれないのですね。もう限界です。私も妻を退職します。離婚してください」

「えっ……い、いやいや、なにを言っているんだ、冗談だろ? なあ、冗談だよな?」

てっきり喜んでくれると思い込んでいた直人さんは、一気に天国から地獄へと突き落とされた気分に。

1年間に約18万組が離婚している日本

厚生労働省によると、令和4年の離婚の全体件数は17万9,099組(同居期間不詳の1万2,894組を含む)で、3年連続減少傾向にあり、ピークの平成14年の28万9,836組に比べると38.21%減っています。 一方、同居期間20年以上の夫婦の離婚は3万8,991組で全体の21.77%(同居期間不詳を含む)を占め、この数字はここ20年以上、4万組前後で高止まりしている状況です。

気になる離婚の理由と順位は、夫と妻では下記のように異なっています。

出所:最高裁判所『令和5年度 司法統計年報(家事編)』より
[図表1]夫の離婚理由 出所:最高裁判所『令和5年度 司法統計年報(家事編)』より
出所:最高裁判所『令和5年度 司法統計年報(家事編)』より
[図表2]妻の離婚理由 出所:最高裁判所『令和5年度 司法統計年報(家事編)』より

「定年離婚」で財産はどうなる?気になるお金の問題

■今までのお金(共有財産)=結婚してから離婚までに築いたお金

 ・財産分与(持ち家など夫婦の共有財産を分けること)

 ・年金分割(厚生年金の分割ができる)

■これからのお金(片方から片方へ)=今後の生活のお金

 ・慰謝料(不倫やDVなど離婚のおもな原因があるとき)

 ・養育費(経済的に独立していない子供がいる場合)

結婚してから築いた共有財産は、どちらか1人しか働いていなくても共働きでも、基本的な考え方は折半になります。双方の話し合いで割合を変えることもできますが、問題なのは、すべての財産が簡単に分けられる物ばかりではないことです。

特に、住宅ローンが残っている持ち家の場合、売却して現金化するのか、どちらかが住み続けるのか、その場合ローンはどうするのかなど、自分たちだけでスムーズに進めることは難しいでしょう。

また、年金分割についても協議が必要です。その際、下記の制度についても知っておく必要があります。

■合意分割制度……当事者の一方または双方からの請求により、婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を当事者間で分割することができる

■3号分割制度……国民年金の第3号被保険者からの請求により、平成20年4月1日以後の婚姻期間中の第3号被保険者期間における相手方の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を2分の1ずつ、当事者間で分割することができる

それぞれ条件がありますが、請求期限は原則、離婚等をした日の翌日から起算して2年以内です。

年金分割や資産分割をする際には、色々な手続きが必要となります。離婚を考えるとき、離婚が決定したときは、ふたりで築いた財産をどのように分割するか、しっかりと協議することが重要です。