社会の変化とともに、家族の在り方も変化しました。老後の生活をひとりでさみしく過ごす人も増えています。老後の20~30年間を充実した人生にするにはどうすればよいのでしょうか? 本記事では川村隆枝氏の著書『亡くなった人が教えてくれること 残された人は、いかにして生きるべきか』より一部抜粋・再編集して、孤独であっても孤立はしない老後の過ごし方について解説します。
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65歳以降の20~30年間を充実した人生にするには
65歳以降の20~30年間を充実した人生にするにはどうしたらいいか悩むところです。長く連れ添った配偶者に先立たれたりして、喪失感を抱えてしまう人も少なくないでしょう。
私の場合、夫と二人の生活でしたが夫に先立たれ一人ぼっちの生活になってしまいました。最初は悲しみ、戸惑い、恐怖、孤独感にさいなまれました。それでも「これではいけない。何とか生きなければ!」「こんな元気のない私を見て圭一さんはきっと悲しむだろう。そんな姿を見せてはいけない」と自分を鼓舞し、どうしたらいいか懸命に考えました。
孤独には耐えられるけど、孤立は絶対に避けたいと思いました。考えてみると孤独は案外いいものです。好きな時間に好きなことができるからです。すなわち生活のすべてが自分の思い通りになる幸せを味わうことができるのです。私は今、孤独を楽しんでいますが、友人たちとの関わりが何より大切だと思っています。仕事仲間はもちろん、ゴルフ仲間やボランティア仲間もたくさんいます。一人の時間を大切にしながらも、決して孤立はしていないのです。
フランスの作家バルザックは「『孤独はいいものだ』ということを我々は認めざるを得ない。しかし、孤独はいいものだと話し合える相手がいることも、一つの喜びだ」と書いています。
外との繋がり、すなわち孤立をしないためにお勧めなのが、ボランティアなどの社会奉仕活動に参加することです。社会奉仕活動は、常に人手を欲しがっていますから誰でも歓迎されますし、社会の役に立っているという感覚が自他ともに得られやすく、困っている人を助けて自分も幸せになるのであれば一石二鳥です。
川村 隆枝
医師・エッセイスト