社会の変化とともに、家族の在り方も変化しました。老後の生活をひとりでさみしく過ごす人も増えています。老後の20~30年間を充実した人生にするにはどうすればよいのでしょうか? 本記事では川村隆枝氏の著書『亡くなった人が教えてくれること 残された人は、いかにして生きるべきか』より一部抜粋・再編集して、孤独であっても孤立はしない老後の過ごし方について解説します。
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さみしい大人には、ボランティアがお勧め
新しい人間関係を築くのが億劫な場合、近い友人、知人を大切にするのが得策です。新たな人間関係を築くのが苦手な人は、趣味のサークルやボランティア活動をするのも一つの方法です。10年間盛岡を留守にしていた私は、仙台から戻ると親友の勧めで国際ゾンタ盛岡ゾンタクラブに入会しました。最初は、少し入って、様子を見て嫌ならすぐにやめればいいと軽い気持ちで入りました。
それが現在まで長きに続いているのは、目的はともかく、雰囲気がすごくよかったからです。みんなと一緒にいて、居心地がいいとでもいいましょうか、気楽で楽しい時間となりました。今では、少し慣れて色々経験することで興味が湧き、どっぷりと浸かっています。人は誰しも一人でいたいときはあります。家族や愛する人を失って、やむを得ず一人になってしまった人も、家族に囲まれている人でもです。
私の家族は、今は愛犬だけですが、それでも仕事のためホテルで一人になるとホッとします。散歩をしたり、餌をやったり、おしっこやウンチの世話をしなくてすむ自分だけの時間をもてるからです。でも帰れば愛犬が待っていてくれる、それも楽しいお一人様です。さみしいお一人様ではなく世間と繋がり、親しい仲間といつでも会える、楽独な人生を始めてみませんか。
配偶者の死後、一人で頑張る人が多い
若い頃は、自分の老後の生活を考えることはほとんどなく、そのときに直面する仕事や家庭の問題に取り組むことで精いっぱいだった気がします。
老後の生活資金2,000万円問題も話題になりましたが、経済的な面だけでなく実際の生活の場について考えることも大切だと思います。以前、家庭は大家族により形成され、その中に色々な世代の人がいました。互いに助け合って一生を終えることができたわけです。現代では核家族化し、個人情報保護法のもと近隣の人の詳細も把握が困難です。夫婦二人で助け合えているときはまだいいのですが一人になったらどうしようと悩み、このまま一人で頑張るか子供の家に移り住み同居するか迷うことになるでしょう。
ですが、最近は子供の生活を尊重し一人で頑張る人が多いようです。また、子供は、世代も違えば価値観も異なるので、意外と理解し合えないことがあります。私たちには子供はなく夫と二人の生活でしたので、お子さんを持つ知人に「私は一人だけどあなたは息子さんやお孫さんがいていいわね。さみしくなんかないでしょ?」と言ったことがあります。すると、その知人は「とんでもない、息子夫婦の家に行くと孫もいて可愛いけど遠慮して早々と帰ってくるの」「いないよりさみしいものよ」と意外な返事でした。