「自分の店」=「贔屓の店」を持とう

某IT企業の社長を退任されたばかりのJさんとの会食で、本書の概略を話し、「55歳の現役世代のみなさんへのアドバイス」を求めてみました。

間髪置かないJさんのコメントは、「自分の店を持つこと」

「えっ?」と一瞬、意味が分からずキョトンとしている私に対して、一口ビールを飲んだ後、Jさんは言葉を続けました。

「『自分の店』って、『自分が贔屓にしている店』のこと。できれば、鮨屋がいいなぁ。自分では、できなかったんだけどさぁ」ということで、私も納得がいきました。

その本質は、55歳以降は人から褒められることなどなくなるけれど、店なら褒めてくれるから、というセルフ・モチベーション・コントロールのお話でした。

50代以前は飲み屋やスナックでもいいのだけれど、55歳からはなぜか、Jさんは鮨屋推しでした。

Jさんが鮨屋をおすすめする理由

なぜ、鮨屋なのかと尋ねると、「分厚い白木のカウンターで大将の前に座り、何も言わなくても、旬のおつまみが一通り出て、最後は好きなネタから握りが出て、その厳選されたネタの味が前頭葉に沁しみわたっていく。それが、究極の褒められ方」という、かなり個人的な趣向の回答。

さらには、「究極に褒めてくれるのは肉ではなく、EPA(エイコサペンタ酸)が大量に含まれる新鮮な魚でないと、だめだね」という完全な「自分へのご褒美系」の決着となり、私の納得感も高まりました。

Jさんの場合は自分へのご褒ほう美びとして、お好みのお鮨屋推しでしたが、大切なのは、そうした自分へのご褒美の店と認識できる贔屓の店を持ちましょうということです。

この贔屓の店というのは、いわば自分の最高の居場所としてのポジショニングとなります。