かつては退職金で住宅ローン完済がもっとも多いパターンだったが…

何歳で住宅を購入したかにもよりますが、これまでの定年退職者は、60歳前半までに住宅ローンを完済させた人が多いのではないでしょうか。

退職金を住宅ローン完済の原資にするのが、もっとも多いパターンだったに違いありません。

あるいは、早めにローンを完済した人はリフォームや住まいの建て替え、あるいは転居などに退職金を用いていました。

しかし、今の50代はいわゆるバブル世代と氷河期世代という両極端の時代の人たちですが、晩婚化、晩産化の主人公でもありました。

結果として、住宅を取得する年齢も30代後半が多くなり、35年ローンを組み、結局、繰り上げ返済もままならず、70歳まで住宅ローンが続くことになるであろう50代も少なくないでしょう。

しかも、会社人生のほとんどが「失われた30年」と重なっていますから、収入の増加は緩やかだった世代でもあります。

逆に、異次元の低金利政策によって地価や住宅、マンションの価格だけは上昇してしまいましたから、多くの部分を住宅ローンに頼らざるを得ない人がほとんどでした。

もっと景気のいい時代を生きたシニアでさえ、ネットニュースや雑誌などでは、「無理な住宅ローンを組んだ落とし穴」的なニュースばかりになっています。

一方、たった1%程度の金利でお金が借りられる住宅ローンなら、別に現役時代や退職金で返済しなくても、70歳でも75歳まででも借り続けていたほうが戦略的という考え方もあります。

QOLの観点から住宅ローンは70歳完済でいい

カードローンやリボ払い、消費者金融の金利と比較すると住宅ローンの金利のほうが桁違いに低いので、1%台程度の固定金利なら、繰り上げ返済などせずに、ずっと借り続けるほうに経済合理性があるのではないでしょうか。